【債券週間展望】長期金利低下か、30年入札需要でフラット化圧力続く

  • 円高・株安の基調、債券市場を取り巻く環境はフォロー
  • 30年債入札には相応の需要が集まるとの見方

来週の債券市場では長期金利の低下が予想されている。根強い円高圧力が債券買いを促す上、30年入札には幅広い参加者から需要が集まりやすく、利回り曲線にフラット化圧力がかかり続けるとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは8日、一時マイナス0.06%と今週の最高水準に並ぶ場面もあったが、再びマイナス0.085%まで水準を切り下げた。新発20年物国債利回りは一時0.325%と3月18日以来の低水準を付けた。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「予想外に円高と株安が進んだことで債券市場を取り巻く環境は悪くない」と指摘し、「30年入札には相応の需要がある。少なくとも21日の20年入札までは緩やかなフラット化圧力が続く」とみている。

  外国為替市場では前日の海外市場で1ドル=107円台と1年5カ月ぶりの円高・ドル安水準を付け、この日の東京市場では政府の円高けん制発言で108円台後半まで戻している。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「アベノミクスの命運がかかっているので政府も必死だが、今の為替水準では介入はないとみており、まだ円高圧力は強い」と指摘する。

  焦点となる14日の30年利付国債入札を不安視する声は少ない。10年以下の利回りがマイナスに沈む中、プラス利回りに対する投資家の需要は幅広く、「入札で崩れる感じはしない。0.5%まで札が流れるかもしれないが、そこは押し目買いだ」と、岡三証の鈴木氏は予想する。今回は50回債のリオープン発行となり、表面利率は年0.8%に据え置かれる見込み。発行予定額も前回債と同額の8000億円程度。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、超長期ゾーンについて、「2ー3月の急速なブルフラット化からの反動が警戒されるが、海外金利の低下や円高・株安が進む中でそのタイミングは遅れる可能性がある」と指摘する。7日の米10年債利回りは一時1.68%と2月25日以来の低水準を付けた。ドル安・円高の進行や米株安が債券買いの手掛かりになった。

  12日には10年物価連動債入札が実施される。価格競争入札によるダッチ方式。21回債で、表面利率は年0.1%に据え置きとなる見込み。発行額は前回より1000億円少ない4000億円程度に減額される。ブルームバーグ・データによると、10年物固定利付国債と物価連動債との利回り差で、市場の予想インフレ率を示すBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は水準を切り下げ、2月には0.1%台前半と、同省が物価連動債の発行を再開した2013年10月以降で最低を記録した。

市場関係者の見方
*T
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*ドル・円が105円を試すような展開になった場合は債券買いが進むことも
*超長期債利回りが下がってリアルマネー投資家の負債バリューが上がってしまった可能性、その点からも30年債入札には相応の需要
*長期金利の予想レンジはマイナス0.14%~マイナス0.04%

◎みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジスト
*ブルフラット化からの反動、海外金利の低下や円高・株安でタイミング遅れる可能性
*緩和カード温存で4月の日銀会合は緩和見送りがメーンシナリオだが、一定のヘッジも
*長期金利の予想レンジはマイナス0.15%~0.05%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*30年入札はプラス利回りに需要が幅広く崩れる感じない。日銀トレード需要もある
*超長期ゾーンが徐々に利回りの低下余地を探る方向は変わらない
*長期金利の予想レンジはマイナス0.10%~マイナス0.03%
*T

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