ローブ氏の日本株式会社改造計画が着々、セブン&アイ人事めぐり勝利

  • セブン&アイの鈴木敏文会長兼CEOが引退へ
  • ローブ氏は鈴木氏が次男を後継に据えようとしたと非難

80代で健康にも問題のある最高経営責任者(CEO)が自分の息子を後継者に据えるために次期CEO候補を会社から駆逐する-。こんなことは米国か欧州ならコーポレートガバナンス(企業統治)の専門家や物言う株主から怒り、あるいは失笑を買うだろう。

  しかし、ダン・ローブ氏に言わせれば、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)がやろうとしていた事はまさにこうだった。セブン&アイはセブン-イレブンやデニーズ、イトーヨーカ堂などの親会社。ヘッジファンド会社サード・ポイントの創業者であるローブ氏の反対がなければ、鈴木氏は成功していたかもしれない。

  セブン&アイの取締役会は7日、子会社セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長の退任人事案を否決した。ローブ氏は3月27日の取締役会宛て書簡で、井阪氏をコンビニ部門成功の「立役者」とたたえた。また鈴木氏の「慢性的な健康問題」への懸念を表明するとともに、鈴木氏がセブン-イレブンに暫定的な社長を据え、その後に自身の次男の康弘氏を昇進させる計画だとも指摘。「このようなうわさが真実であるならば、鈴木敏文氏の能力および判断と、同氏にセブン&アイについての決定を委ねるべきかどうかについて、重大な疑義が生じる」と記述した。

  取締役会の採決で井阪隆一社長の退任人事案への賛成票は必要な数に1票足りなかった。ローブ氏の見事な勝利であり、鈴木会長の辞意表明につながった。同会長は記者会見で、次男を自身の後継者に据えることは全く考えたことがないと述べ、ローブ氏の指摘を否定した。

  ローブ氏は7日電子メールで、「セブン&アイ取締役会の後継計画が実績と株主利益に基づくことが分かり満足している」と表明した。

  ローブ氏のような物言う株主は長い間、日本企業のガバナンス改善のために働きかけてきた。1990年代初めのブーン・ピケンズに始まり何人かの外国人投資家が、経営上の決定の透明性向上や株主リターンの重視を日本企業に働きかけてきたが、なかなか成功しなかった。

  ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、セブン&アイの経営陣交代は国内外から注目を集めているとし、役員室で提案がどのように作られ議論されたのか、さらに取締役会がどのようにして最終的に人事案を否決するに至ったかを、セブン&アイの企業統治がきちんと機能しているかどうかを見極めるために知りたがっていると解説した。

  ローブ氏は近年、日本株式会社に対する物言う株主として頻繁に登場している。スズキ、ファナック、ソニー、IHIと、さまざまな業種の企業に物を言ってきた。成否はまちまちで、ソニーには娯楽部門の一部売却を説得できず約2年前に同社株を放出。ファナックには自社株買い戻しの拡大を求めたところ、同社が配当を引き上げた。

原題:Loeb Prevails in Latest Crusade to Reform Corporate Japan (1)(抜粋)

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