円全面高、対ドルで1年5カ月ぶり108円台突入-けん制発言効かず

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  • 一時108円73銭と2014年10月以来の水準までドル安・円高進行
  • いかなる介入も米承認必要、105円程度までは難しい-野村・池田氏

7日の東京外国為替市場では円が全面高となり、ドル・円相場は約1年5カ月ぶりに1ドル=108円台に突入した。日本政府高官から円高けん制発言が相次いだが、市場では為替介入に対する懐疑的な見方が強かった。

  ドル・円は午後に入り一時108円73銭と、2014年10月29日以来の水準までドル安・円高が進行。朝方には財務省幹部の円高けん制発言を受け、109円90銭まで反発する場面が見られたが、午前11時すぎには前日の海外市場で付けた円高値(109円34銭)を突破。その後、菅義偉官房長官の発言が伝わったが、円買い優勢の流れは変わらず、午後2時すぎには109円台を割り込んだ。

  菅官房長官は7日、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、場合によっては必要な措置を取ると記者会見で語った。また、安倍首相がウォールストリート・ジャーナルのインタビューで恣意(しい)的な為替介入を慎まなければならないと発言したことについて、首相は長期にわたり為替操作を続けていくことは適当ではないと指摘したとの認識を示した。官房長官に先立ち、財務省幹部は足元の為替相場の動向について、一方に偏った動きとの認識を示し、場合によっては必要な措置を取ると発言した。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、「基本的に介入については心理的な警戒感はあるものの、現実的にはそう簡単に介入に踏み切れるものではないことから、そこを試しに行くような感じになっている」と指摘。ドル・円は毎日1円ずつ大台が変わっているが過熱感がなく、「達成感がない状況で下げているのでなかなか止まらない感じがある」と話した。

  野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは日本外国特派員協会での会合で、いかなる介入も米国の承認が必要であり、1ドル=105円程度までは介入は難しいとの見解を示した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの山田修輔チーフFXストラテジストは、年内に円が100円に達する可能性があると述べた。

  日本銀行の黒田東彦総裁は7日、定例支店長会議でのあいさつで、2%の物価実現を目指し、安定持続に必要な時まで緩和を継続すると発言。リスクを点検し、必要な場合は三次元で追加緩和を講じると述べた。

  三菱東京UFJ銀行経済調査室のチーフ米国エコノミスト、栗原浩史氏(ニューヨーク在勤)は、「日銀の要因で円安をもたらすとの期待が高まって円安に行くのはこれからはそれほど簡単ではないという気がしている」とし、「ドル・円が戻すとすれば、やはりFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測が為替市場でまた高まるということしかないのではないか」と指摘。もっとも、「指標は改善しているが利上げ期待が全然高まらないという状態は目先は続きそう」と言い、「そういった意味では、ドルもなかなか上がっていくのは難しい」と語った。

  ユーロ・円相場は一時1ユーロ=124円22銭と3月10日以来の水準まで円高が進んだ。ブルームバーグのデータによると、円は主要31通貨全てに対して前日終値から上昇している。

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