ラガルドIMF専務理事:世界景気活気なく、政治的リスク増幅

更新日時
  • 世界経済の見通しは過去6カ月に悪化した
  • ギリシャ、「Brexit」、中国が世界景気のリスク

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は5日、世界経済は良い方でもせいぜい平凡な成長といった程度で、そうした時期にテロから英国の欧州連合(EU)離脱の可能性に至るまで一連の政治的リスクに見舞われていると指摘した。

  同理事はフランクフルトで、ブルームバーグテレビとのインタビューに応じ、世界経済の見通しに対し、「低成長、雇用創出なし、インフレの欠如、高債務などが影を落としている」と語った。また、下振れリスクは増したとし、「上向きの要素があまり見当たらない」と指摘、「この新しい平凡さを恐れる」と語った。
 
  同専務理事はこれに先立つ講演で、世界の景気回復に対するリスクは増しており、不平等への不満が保護主義の誘惑を強めているとの認識を示した。世界経済の見通しは、中国の減速と商品価格下落、多くの国での金融引き締めのリスクによってここ半年に悪化したと指摘。予想されていた新興市場から先進経済への「成長のバトン」引き渡しは実現しなかったと述べた。

  再任で5年の続投が決まったラガルド専務理事(60)は、米国の大統領選挙でバーニー・サンダース議員やドナルド・トランプ氏などの候補を後押ししている大衆迎合的な力に引き付けられることに対し警鐘を鳴らした。世界的には不平等は縮小しているものの、「普通の人に不利でエリートに有利なように物事があらかじめ仕組まれている」という認識はなくなっていないと語った。

  「一部の人々にとって答えは、内向きになり、何とかしてつながりを断ち、国境を閉ざして保護主義に閉じこもることだ」と特定の政治家の名前は挙げずに語り、「これが悲劇への道だということを歴史が繰り返しわれわれに告げている」と警告した。

  ラガルド専務理事の発言は、IMFが12日公表する最新の世界経済見通しで成長率予想を下方修正するとの観測を裏付ける。今週はワシントンでIMFの春季会合が開かれる。

  「明るいニュースは回復が続いていることだ。危機の状態にあるわけではない」とラガルド専務理事は述べた上で、「あまり良くないニュースは、回復があまりにも遅く脆弱(ぜいじゃく)過ぎるままで、その持続へのリスクが増していることだ」と続けた。

  より持続可能な経済モデルへの中国の移行は成長鈍化を伴うとし、ブラジルとロシアは予想以上の落ち込みだったとも指摘。中東諸国は原油安によって大きな打撃を受けていると付け加えた。

  「大金融危機以降、われわれが大きな進歩を遂げたことは確かだが、低成長が余りに長引き、余りに多くの人が成長を実感できずにいる」と語った。長引く低成長は潜在成長率に負の影響を与え、これを反転させるのは難しいため「自己増強的」だとも分析した。

   成長てこ入れのための主な手段である構造改革と財政出動、金融緩和の3つを全ての国が活用するようにあらためて呼び掛けた。

  米国には所得控除と最低賃金を引き上げることを提言。ユーロ圏は訓練と職を一致させることで失業を減らせると指摘した。インフラと革新への投資が成長促進の大きな力を持つとも述べた。

  欧州中央銀行(ECB)と日本銀行のマイナス金利導入については、全体としてはプラスだが「副作用を監視する必要がある」との見解を示した。

原題:IMF’s Lagarde Says Risks to Weak Global Recovery Are Increasing(抜粋)
Lagarde Sees Political Dangers Galore With Global Economy Tepid

(第1、2段落にインタビューの内容を追加します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE