鴻海のシャープ買収、再生可能エネルギーの利用拡大にも寄与へ

台湾の鴻海精密工業のシャープ買収は、日本市場への足がかりとなるだけでなく、大気汚染が深刻化しているアジア諸国で環境負荷の低いエネルギー導入に貢献するという鴻海の狙いにも寄与する。

  先週シャープの買収契約に調印した鴻海は、これまでに同社工場のエネルギー効率改善や中国やインドでの太陽光発電導入拡大の考えを示している。シャープの買収合意で、鴻海は太陽光パネルメーカーのパイオニア企業としての地位も獲得することになる。

  ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの太陽光担当アナリストのジェニー・チェース氏は電子メールによる取材に対し「買収により、鴻海は太陽光パネル販売におけるシャープのブランドを手に入れる」とコメントした。

  鴻海は昨年10月、「iPhone(アイフォーン)」やタブレット端末「iPad(アイ パッド)」の生産を受託している米アップル主導の共同事業として、2018年までに400メガワット(40万キロワット)規模の太陽光発電設備を中国河南省などに建設する計画を発表した。

  6月には、ソフトバンクグループやインドのブハルティ・エンタープライゼズと共同で、インド国内で20ギガワット(2000万キロワット)規模の再生可能エネルギーを利用した発電設備を建設するため、200億ドル規模のベンチャー会社を設立する計画も明らかにしている。

  鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は当時「再生可能エネルギーを強化していくことは当社の事業戦略の重要な柱のうちの1つ」だとし、パートナー企業と共同で取り組むことを「楽しみにしている」との見解を示した。その上で「インドにおけるクリーンエネルギーソリューション分野において圧倒的な立場を確保するとともに、インドにおける再生可能エネルギー産業の発展を支援していきたい」とコメントした。

スマートコミュニティー

  立教大学の アンドリュー・デウィット教授(政治経済学)は、シャープの買収により鴻海は分散電源やスマートコミュニティー関連の事業も獲得したことになると指摘する。「スマートコミュニティーを通じた国土強靱(きょうじん)化が国内で大きな焦点になっていることを考えると、鴻海は短期的な利益の追求にとらわれずに大局的な点に注目すべきだ」との見解を示した。

  シャープは3月30日、鴻海から調達する3888億円の資金のうち80億円を、太陽光発電所やHEMSと呼ばれる家庭向けエネルギー管理システムなどエネルギーソリューション事業の研究開発や販路開拓投資などに充てると発表した。この金額は事業分野別に見ると最も小さく、有機ELパネルの技術開発や設備投資には19年6月までに2000億円を投じることを計画している。

  シャープは4日、同社独自のブランドを今後も維持することで鴻海と合意しているとし、今後もエネルギーソリューション事業を推進し、住宅用太陽電池やHEMSの販売強化や、国内外の太陽光発電所の設計・調達・建設事業の拡大に取り組む方針をウェブサイト上で発表した。

  鴻海広報担当のルイス・ウー氏は、電子メールでの問い合わせに対し、再生可能エネルギー分野での協調の具体策についてはコメントを控えると回答した。

原題:Foxconn’s Clean-Energy Ambitions Bolstered With Sharp Takeover(抜粋)

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