そーせい頼みのマザーズ指数、独り勝ちも喜び半分-株価4倍で

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日本株市場ではTOPIXや日経平均株価が低迷する中、東証マザーズ指数が独り勝ちしている。日本株に対する海外投資家の売り越しは続くが、マザーズ市場の7割を占める個人投資家の強気な物色マインドが相場を支えている。けん引役はバイオ医薬品ベンチャーのそーせいグループだ。ただ一部の銘柄に大きく依存する構図には手放しで喜べない側面もはらむ。

  マザーズ指数の年初からの上昇率は4日時点で13%。それに対し、TOPIXは16%安、日経平均株価は15%安。マザーズ指数の上昇率は突出している。原油市況安や米金融政策の不透明感を受け、海外投資家の心理が不安定な一方、成長株を探そうとする個人投資家の意欲は高い。マザーズ市場では、直近の3月第4週時点で売買代金のうち海外投資家の24%に対し、個人投資家が71%を占める。

  その個人投資家の注目を集め、指数を押し上げているのがバイオ医薬品開発のそーせいGだ。マザーズ指数でそーせいGが占めるウエートは15%。ブルームバーグデータによると、仮にそーせいGがメンバーでなかった場合、7.7%の上昇に留まる。そーせいGは時価総額では3位だが、同首位のCYBERDYNEのウエート13%、ミクシィの8.4%を大きく上回っている。日経平均株価でウエートが首位のファーストリテイリングの8.1%などと比べても、その影響度は突出している。

  「今や、マザーズ指数はそーせい指数のようなもの。そーせいが一服すれば、マザーズも一服してしまう」と岡三証券投資戦略部の小川佳紀シニアストラテジストはみる。「そーせいには機関投資家も個人もみんな参加しているが、他の銘柄は盛り上がっていない。機関投資家が成長株として投資する先はマザーズ市場には少ない」と新興市場に必要な成長株の存在の少なさを指摘する。

東証マザーズ指数とそーせいG株の推移

  そーせいGの株価は2015年初は4370円、時価総額は734億円だったが、現在は1万5320円(4日終値)に上昇。時価総額は2581億円に増えた。同社は積極的な企業の合併・買収(M&A)を行い、各社の創薬基盤技術を基に研究開発を進めてきた。直近では、15年2月に英国のバイオ医薬品企業を買収している。いちよし経済研究所は今年2月、開発段階の製品で大型契約の可能性が高まったとみて、フェアバリューを従来の1万4000円から1万7000円に引き上げた。同研究所の山崎清一首席研究員は「日本を代表するバイオベンチャー」と評価する。

  マザーズ指数は、近い将来の東証1部市場へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場として、その役割を担ってきた。過去には、サイバーエージェントユーグレナなどがマザーズから1部へ移行。そーせいGも17年3月期を目標に東証1部市場への変更申請を行うことを決めた、と昨年7月に発表した。

  指数のウエートの大きなそーせいが1部へ移行すると、「良いものが出て、良いものが入ってくればいいが、最近は出て行くばかりで成長が期待される銘柄が少ないという印象。市場自体が空洞化してしまうのではないか」と岡三証の小川氏は危惧する。また、SBI証券の藤本誠之シニア・マーケット・アナリストは「ミクシィも1部へいく可能性がある」という。ミクシィは指数のうち3位のウエートを占めており、上位銘柄を失い、マザーズ指数への関心低下も危ぶまれる。

マザーズ指数先物

  日本証券取引所グループは7月19日にマザーズ市場の先物を開始する。国内新興株式市場に対する新たな投資手段やヘッジ手段の提供が狙い。ただ、上位銘柄に指数のウエートが集中しているため「上位に集中しているということは、インデックスを動かしやすいという一定の懸念はある」とSMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは指摘する。また、マザーズ指数では、個人投資家が値動きで利益を取ろうとしている現状で「先物のニーズがどれくらいあるかは不透明」と岡三証の小川氏はいう。

  一方、松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストはマザーズ市場は個人投資家が中心で相場が一方向に行きやすいが、先物の導入により「一方方向の売買がしにくくなるだろう」とみる。また、流動性が拡大し、機関投資家の目線が向かう可能性もある。SMBC日興証の伊藤氏は「流動性が高まれば、指数が操作されるリスクは減る。東証1部を含めた中小型株へのヘッジツールとしても活用可能」とみる。

  午後2時8分時点で、東証マザーズ指数は前日比6%安の943.23、そーせいGの株価は7.6%安の1万4150円。

(5段落目にチャート、最終段落に株価指数を追加しました.)
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