【コラム】ウィキリークス、ギリシャ問題妥協の契機に-エラリアン

内部告発サイト「ウィキリークス」がまた論争を呼び起こした。週明け早々、ギリシャの債権者に債務再編を受け入れさせる最善策について国際通貨基金(IMF)当局者の間で話し合われたとされる議論の記録を掲載したためだ。これが大規模な犯人捜し、さらに怒りのような感情を引き起こしている。

  とは言えギリシャの経済状況を見れば、債務減免が必要なことは明白だ。包括的な改革プログラムに債務軽減が盛り込まれなければ、ギリシャは成長できず、失業率は高止まりする。ユーロ圏の機能を定期的に試すような混乱も続くだろう。

  経済的には明白だとしても、政治的には複雑だ。それは主に、これまでのギリシャ支援の決定により今や同国の債務の大半を他の欧州諸国や欧州機関が保有していることに起因する。従って、債務減免の決定は各国議会を巻き込んだ政治プロセスを経た場合のみ可能だ。これにはドイツ、フィンランド、オランダなど、過去の支援条件の緩和には全て反対する傾向のある国々の議会も含まれる。

  極めて厳しい状況ながら難民危機の最前線に立つギリシャに対し、経済的に必要な決定への政治的承認が容易になるだろうと考えた向きも多かった。だが危機で露呈した欧州内の深い分断に照らすと、この機会の利用も難しい。この問題でも他の多くの欧州の問題でもリーダーとして振る舞うドイツのメルケル首相は、難民危機での勇気あるアプローチに対し、今や国内で強い反対に直面している。

  ギリシャに重要な資金と専門的支援を提供するIMF内部の議論がウィキリークスで表に出たことは、この政治力学を一層複雑にする。この文書には向こう数カ月の複雑な欧州連合(EU)の政治がギリシャの債務減免を受け入れさせる戦略に影響する見通しについて、IMF担当者の考えが詳細に記されていた。IMFは長きにわたり債務減免が必要だと主張し続け、今や追加支援の前提条件であると示唆している。

  結局、EUとユーロ圏はいずれも夏の初めにいっそう苦しい時期を迎えている可能性がある。その時までにギリシャは経済運営と債務履行のための資金が尽きかけ、英国はEU離脱の是非を問う国民投票を実施する。難民流入に対する最近の合意は実施が難しいという厳しい事実を突きつけられている公算も大きい。

  今夏に多数の問題が同時にさく裂する事態を避けるため、欧州はいま行動をとるべきだ。問題の処理を誤れば、欧州の決意や問題解決能力に加え、政治的な信頼性をも厳しく問われることになるだろう。このような文脈において、ギリシャの債務減免をめぐる難しい決断が、現実的な必要性を帯びてくるのである。

 (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません) 
原題:WikiLeaks Bolsters Case for Greek Relief: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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