1日の東京株式相場は4日続落。日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)の景況感が予想を下回ったほか、為替の根強い円高警戒、年度末を通過したことによる需給悪化懸念から全面安となった。電機や機械など輸出関連、ガラス・土石や鉄鋼など素材中心に売られ、東証全33業種が下げた。減益見通しが嫌気されたパナソニックは急落し、電機は業種別下落率1位。

  TOPIXの終値は前日比45.80ポイント(3.4%)安の1301.40、日経平均株価は594円51銭(3.5%)安の1万6164円16銭。両指数とも下落率は2月12日以来、水準は1カ月ぶり安値。

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一執行役員は「前年度内は期末に向けた株価意識があった。新年度入りで株価が動意付いてみると、短観は想定通り良くなく、米雇用統計はどちらに振れても日本株は期待しづらい」と述べた。企業は慎重な新年度業績見通しを出してくる可能性が高いとして、「4-6月は短期的に厳しい」という。

  取引開始前に公表された日銀短観(3月調査)では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス6と12月の前回調査のプラス12から悪化。異次元緩和直後の2013年6月以来の低水準だった。エコノミスト調査ではプラス8が見込まれていた。非製造業はプラス22と前回25から低下、市場予想はプラス24だった。製造業の16年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭で、大企業全産業ベースで経常2%減益を見込んでいる。

  短観について「今期減益予想、設備投資も弱め。業績がピークアウトして、今期増益が描きにくくなっている」というのはちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長。「政府は政策面でいろいろとパッケージで考えているだろうが、それが少し見えてこないと買い材料がない」と話す。

  この日の為替市場では円買いの動きが強まり、ドル・円相場は1ドル=112円6銭までドル安・円高となった。米国時間1日には3月の米雇用統計が発表される。ブルームバーグが集計した事前予想の中央値は非農業部門雇用者数が前月比20万5000人増、平均時給は0.2%増。2月は24万2000人増、マイナス0.1%だった。

  短観での新年度想定レートは足元の為替と5円程度の開きがある。円高などによる企業業績への不安を象徴したのがパナソニクの急落。3月31日に行われた事業方針発表会で、17年3月期が減収減益になる見通しだと発表。終値で3年5カ月ぶりの下落率となり、日本企業を取り巻く事業環境の厳しさが再認識された。

  重要な経済指標を控えて積極的な買いが入りにくいだけに、先物主導で売りが膨らむと午後には下げが加速し、新年度相場は波乱の幕開けとなった。日経平均は一時645円安と、日中ベースでは2月12日(847円安)以来の下げ幅。同日は米国連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が10日に利上げ先送りを示唆し、為替市場で一時1ドル=110円台まで円高が加速したことを受けて1万5000円を割り込んだ日だった。

  もっとも、市場ではきょうの大幅な下落の背景について、年度をまたぐ需給要因を挙げる声が少なくなかった。水戸証券投資顧問部の酒井一ファンドマネジャーは「短観は若干悪かったが、サプライズがある内容では無かった」と指摘。その一方で、「年度末まで為替が円高気味の中で無理して下値を支えられていた面があった。年度が変わって耐え切れなくなり、為替に引っ張られている」と言う。米雇用統計は「予想の範囲ならFRBのハト派の口調が強まっている以上、円の先高観は強まる」とみている。

  東証業種別33指数では電機、電気・ガス、鉱業、機械、証券・商品先物取引、ガラス・土石、保険、鉄鋼、輸送用機器などが下落率上位。東証1部売買高は概算25億7927万株、売買代金は同2兆6570億円。値上がり銘柄数は70、値下がりは1860で、全体の95%が下げる全面安。

  東証1部売買代金上位ではトヨタ自動車、みずほフィナンシャルグループ、ソニー、ファーストリテイリング、TDK、ホンダ、日立製作所、アステラス製薬、三井不動産が安い。ソフトバンクグループ、KDDIは上昇。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE