シティやドイツ銀が債券発行業務でただ働き-旅費まで負担の理由

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  • NTPCの起債で引受金融機関5社の手数料は実質無料-関係者
  • 投資家への売り込みツアーの旅費も負担

インドの国営電力会社、NTPCが2月に5億ドル(約560億円)相当のユーロ債を起債した際、通常なら手数料100万ドル余りを取れる業務について銀行は数セントしか受け取らなかった。

  そればかりか、NTPC幹部が投資家への売り込みのためロンドンとシンガポールへ行った際の旅費も、米シティグループなど引受金融機関5社が支払った。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  新興市場のユーロ債引き受け業務の獲得で銀行がしのぎを削っている状況が浮き彫りになる。昨年の起債規模は3440億ドルと、前年から29%減った。引受手数料の縮小傾向は10年越しだが、ついに無料にする銀行まで現れた。市場シェアのために利益を犠牲にするやり方だ。

  ランデスバンク・ベルリン・インベストメントのディレクター、ルッツ・ローマイヤー氏は「奪い合いだ。業務を獲得するための手数料引き下げをバンカーらは辞さない。案件は減っており競争は激しい」と話した。2016年1-3月(第1四半期)の新興市場からのドルないしユーロ建ての起債は910億ドルと、6年ぶり低水準に落ち込んだ。

  需要縮小を受けて銀行は値引き競争に走るようになった。フリーマン・コンサルティング・サービシズ(ニューヨーク)が過去10年の7000の案件を基にまとめたデータによると、昨年の社債と国債発行関連業務で銀行が受け取った手数料の料率は中央値で0.15%、06年は0.28%だった。

  安い手数料あるいは無料でのサービス提供は、銀行にとっては先を見据えた投資。政府や国営企業との関係をしっかり築いておけば、将来的に民営化や合併関連の助言といった一段と高収益の業務を受託できる可能性が高まる。

  関係者が匿名を条件に述べたところによると、NTPCは銀行がマーケティングツアーの旅費を負担したことで4万ドルを節約できた。引受金融機関5社にはシティのほか、ドイツ銀行とHSBCホールディングス、バークレイズが含まれていた。

  バークレイズとHSBC、ドイツ銀のムンバイ在勤の広報担当者は今週ブルームバーグの取材に対しコメントを控えた。シティの広報担当者にコメントを求めたが返答はない。

原題:Look, No Fees! Banks Do Bonds for Free to Win Emerging Deals (2)(抜粋)

(第4段落の起債規模を更新し、第5段落に手数料率について追加します.)
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