イエレンFRB議長、市場に米金融政策を外注したも同然

  • FOMCは投資家より遅れて2016年の利上げ予想を下方修正
  • 金融政策にとっては「好ましい現象だ」とクランドール氏

米連邦公開市場委員会(FOMC)は金融政策の策定を金融市場に外注したかのようだが、これは必ずしも悪いことではないのかもしれない。

  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は29日にニューヨーク・エコノミック・クラブで行った講演で、今年予想される利上げ回数が市場で引き下げられた後に、当局も少ない利上げ予想に修正したことについて説明。市場での利上げ期待低下が債券利回りを押し下げ、海外の成長減速を背景に米経済が必要としていた支援を与えた格好となったと指摘した。FOMC予測は昨年12月の時点で年内4回の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げを予想していたが、3月にこれを2回に修正した。

  ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏(ニュージャージー州ジャージーシティー在勤)は「好ましい現象だ」と話す。「経済的ショックにFOMCがどう対応するのか公に想定可能となれば、金融という薬が血流に浸透するスピードは速くなる」と述べた。

  しかし落とし穴がある。当局の金融政策に影響を及ぼせることに気をよくした投資家は、当局が望むよりも大量の刺激策を要求するかもしれない。

  独保険会社アリアンツの主任経済アドバイザーでブルームバーグ・ビューのコラムニストも務めるモハメド・エラリアン氏は、「このように緩和が続くことを意識して気が大きくなった市場は、FOMCに対してさらに政策を強制しようと試みるかもしれない」と述べた。

  事実、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では今年の利上げは1度きりだとの見方が広がっている。FOMC予測では2回が予想されている。

  この6カ月間のFOMCと市場の動向からは、最適な金融政策という認識をめぐって中央銀行と市場が一致するのはどれほど難しいかがうかがわれる。

  「FOMC、市場の双方が理解を深めていくための絶え間ないプロセスだ」と米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)でグローバル経済アドバイザーを務めるヨアヒム・フェルズ氏は語った。

  イエレン議長自身もFOMCと市場が常に以心伝心の状態ではないことを認めている。29日の講演に付けた備考欄で、「そうした状況において、FOMCは適切と信じる行動を取り、同時にその合理性を明確に説明する義務がある」とイエレン議長は論じた。

原題:Yellen Outsources U.S. Monetary Policy to the Financial Markets(抜粋)

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