シャープ、鴻海による買収の減額修正受け入れ-4月2日に記者会見

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  • 出資額は総額約3888億円と、当初予定から約1000億円減額
  • 調達額減少で社債償還は取りやめ、有機ELの技術開発には投資維持

経営再建中のシャープは、台湾の鴻海精密工業による買収案を受け入れ、出資額を当初の予定から約1000億円減額することで決着した。今後は鴻海の下で有機ELなど重点事業に投資し再建を図る。

  30日の発表によると、鴻海はシャープが第三者割当で発行する新株を総額約3888億円で取得し、全体の66%を保有する筆頭株主となる。新株のうち普通株の発行価格は1株88円。2月の発表時点では総額4890億円だったが、将来に負債となる恐れのある潜在的リスクの評価を含む経営状況などを考慮して減額した。

  両社は4月2日に株式引受契約を締結し、共同会見を行う。取締役会議事録の抄本によると、シャープの13人の取締役のうち会長の水嶋繁光氏と半田力氏が議案に反対した。2月の取締役会では全会一致で可決されていた。

  買収をめぐっては、鴻海と日本の政府系ファンドの産業革新機構が競ってきたが、シャープは2月25日の取締役会で郭台銘(テリー・ゴウ)会長が率いる鴻海からの買収受け入れを決めた。しかし鴻海は「新たな重大情報」について精査する必要があるとして、正式契約を延期するとシャープの決定直後に発表。買収は、シャープの発表から1カ月が経過しても契約が締結できない状態だった。

  31日のシャープ株は一時、前日比3.7%高の140円まで買われたが、その後反落。午前10時3分現在は同5.9%安の127円。

ディスプレー事業で新条件

   エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「再建に弾みが付き、シャープにとってはプラス」と評価。出資額が1000億円減少したことについては「さらに資金が必要になれば、これから協議すればよい」と話した。

  出資の払い込み期間は、6月28日から10月5日までとなり、当初予定から最終期限が1カ月延長された。シャープ側の原因で取引が成立しなかった場合、鴻海は3カ月間、シャープのディスプレー事業を購入する権利を持つという条件が新たに加わった。

  調達額の減少に伴い、普通社債の償還に使うとされていた300億円は調達資金の使途から除外され、インターネットにつないだ製品や車載分野での新規開発に投入する金額は減少した。一方、携帯電話の画面に使う有機ELの技術開発や設備投資の金額は2000億円のままで維持された。

優先株

  また2月の発表では、鴻海はシャープの主要取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が保有する優先株のそれぞれ半数を総額1000億円で買い取る予定としていたが、30日の発表文では言及がなかった。シャープの広報担当、植村豊土氏は「鴻海と銀行の協議によるものであり、当社がコメントする立場にない」と答えた。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行も回答しなかった。3月末が期限となっていた総額5100億円のシンジケートローンについては、契約期間を4月末まで延長する。

  ジェフリーズ・グループのシニアアナリスト、アツール・ゴーヤル氏は「実際の取引は鴻海と銀行の間でなされているが、まったく透明性がない」と述べた。また「鴻海は、シャープを倒産しか選択肢がないところまで追いつめ、安い値段でほしかったものをようやく手に入れた」と話した。

104年目で終止符

  シャープは、今期(2016年3月期)の営業損益を1700億円の赤字と予想、従来の100億円の黒字から大幅に下方修正した。液晶パネルの販売不振や価格下落に伴う在庫評価減の計上などが理由。

  シャープの経営危機は液晶事業の不振などで12年3月期に巨額赤字を計上したことで表面化し、前期(15年3月期)も2223億円の純損失を計上した。シャープは資産売却や人員削減によって立て直しを図ってきたが、液晶事業の悪化により外部支援が不可避の状況となった。1912年に創業したシャープの独立経営は、104年目で終止符が打たれる。

 シャープの高橋興三社長は、両社連名の英文発表資料の中で、戦略的提携を結ぶことができて喜ばしいとコメント。郭会長は、シャープのみなさんと働くことを楽しみにしているとし、同社の潜在力を共に引き出していくと述べた。

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