イエレン議長、段階的アプローチを強調-FOMCのメッセージ明確化

  • イエレン議長は利上げに向けて見極める必要のある状況を詳述
  • 「データ次第」の米金融当局、ドルや海外の経済動向を注視

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は29日、「データ次第」の金融政策運営とは何を意味するのかを詳述し、政策金利が慎重なペースで引き上げられるという明確なメッセージを送った。FRB議長として米金融当局における指導力を発揮した形だ。

  イエレン議長が今後の利上げに向けて注視する必要のある状況として列挙したのは以下の通り。

  • 外国の経済と金融市場が安定する必要性
  • さらなるドル高は望ましくない。ドル高となれば、インフレ率や輸出を押し下げ、米国の製造業に打撃を与える
  • 商品価格が安定し海外の生産国の成長基盤の改善につながる必要性
  • 住宅セクターは米経済への貢献度を高める必要がある
  • インフレには上下双方向のリスクがあり、イエレン議長は最近のコアインフレ上昇に持続性があるか懐疑的で、事態を注視している
      

リーダーシップ発揮    

  イエレン議長のニューヨークでの講演は、連邦公開市場委員会(FOMC)による意思伝達が、時には議長がリーダーシップを発揮して指針となる見解を打ち出す手法を取ることも示した。FOMCに17人が参加する現状ではこれは難しいかもしれないが、不確実性のある局面では、一連の課題と政策への含意を説明するのが議長の仕事となる。

Janet Yellen

Photographer: Pete Marovich/Bloomberg

  バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏(ニューヨーク在勤)は「イエレン氏の講演は議長就任以降で最高のパフォーマンスだったと思う」と述べ、「結束を欠いた状況では、議長が指導力を発揮する必要がある。イエレン氏はそうしたと考えられる」と付け加えた。

  FOMCは今月、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ー0.5%に据え置くとともに、2016年の利上げペースについて、中国経済の成長をめぐる懸念で世界の金融市場に動揺が広がる前の昨年12月時点の予想よりも鈍化する可能性を示した。しかし、その後、セントルイス連銀のブラード総裁やフィラデルフィア連銀のハーカー総裁、アトランタ連銀のロックハート総裁らが4月26、27両日のFOMCでの利上げ検討の可能性に言及し、追加利上げを支持する姿勢を示唆していた。

  イエレン議長は4月や6月の利上げの可能性への言及を避け、「慎重に進める」のが適切だと指摘。立て続けに「慎重姿勢は特に正当化される」と発言した。

  BNPパリバの米国担当エコノミスト、ローラ・ロスナー氏(ニューヨーク在勤)は「当局は本気でデータ次第とする立場で、辛抱強い姿勢を取る意向だ」とし、引き締めについて「イエレン議長が言っているのは『このプロセスを開始したが、正当化されなければ続ける必要はない』ということだ」と分析した。

原題:Yellen Takes Control of Fed Message to Stress Gradual Approach(抜粋)

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