あまりにかけ離れた応札は不採用、日銀オペレートのマイナス幅急拡大

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日本銀行はマイナス金利付き量的・質的金融緩和で金利全般により強い下押し圧力を加えていくと宣言したが、実際の資金供給オペレーションでは過度に低い応札レートを不採用にするなど、急速な金利低下には慎重な姿勢を見せている。

  日銀が28日に実施したコマーシャルペーパー(CP)の買い入れオペではマイナス0.647%以下の応札を不採用とし、落札額は予定の6000億円を下回る5304億円にとどめた。18日の国債買い現先オペでもマイナス0.30%以下の応札を不採用とし、予定額5000億円に対して落札額は3848億円だった。

  日銀CP買い入れオペの最低落札金利は、マイナス金利が金融機関の日銀当座預金の一部に適用された2月16日にマイナス0.019%と初めてマイナスを付けた。その後、低下が加速し、28日にはマイナス0.598%と過去最低を更新した。

  一方、CP市場では、23日に三井住友ファイナンス&リースがマイナス0.001%で発行したものの、大半の企業の発行金利はゼロ%で下げ止まっているのが現状だ。こうした発行金利とオペレートの格差はCPディーラーが利ざやを稼ぐ絶好の機会となっている。  

  東短リサーチの飯田潔上席研究員は、「CPのオペレートがどこまで下がるのか参加者が試していた面もある」と指摘。日銀のオペ対応については、「これ以下のレートを許さないという強いメッセージではなく、発行レートとオペレートを考えながらこのあたりということ。量の政策なので応札が集まらなければレートを切り下げていく可能性はある」とみている。

  日銀のCP買い入れの目標残高は2.2兆円。3月期末前に償還して減った保有残高を調整するため、今回の買い入れオペの通知では前回に比べ1000億円増額した。ディーラーの応札額は6449億円となっていたが、予定を下回る購入となった。資金供給オペについて、日銀の金融市場局市場調節課の担当者は、実際の応札レートの状況や市場実勢レートを見て、著しく乖離(かいり)している場合には不採用とすることがあると説明している。

  JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、日銀は「金利を下げるためにオペレーションをやっているが、実勢からあまりにもかけ離れた応札レートをどんどん取るのではなく、ある程度は配慮しながらオペレーションを進めていくという方針を示した」と指摘し、長期国債の買い入れオペでも同じようなケースが出てくる可能性もあると言う。

長期国債の買い入れ  

  SMBC日興証の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは29日付のリポートで、CP買い入れオペと国債買い現先オペの不採用レートが平均落札レートから22bp(bp、1bp=0.01%)、18bpとそれぞれ低い水準で決まったのを受けて、「20bp前後という水準感が市場参加者の頭にインプットされる」と指摘した。JPモルガン証の山脇氏と同様に、長期国債の買い入れオペでも将来、平均から大きく乖離した札を不採用としてくる可能性が高いとみている。

  日銀はマイナス金利付き量的・質的金融緩和に関するQ&Aで、長期国債の買い入れが困難になることはないのかとの質問に対して、「マイナス金利分だけ買い入れ価格が上昇(金利が低下)することで釣り合うので、買い入れは可能と考えられる。マイナス金利導入が国債市場に与える影響を注意深く見ながら、長期国債買い入れを推進していく」と答えている。

  JPモルガン証の山脇氏は、長期国債の買い入れオペで市場実勢から大きく乖離した応札が増える場合について、「買い入れ額があまりに多くて市中にほとんど残っておらず、かなり金利が低下した状況だ」と指摘した上で、「それを危惧しなければいけないような状況にはまだなっておらず、当面は想定しづらい」と述べた。

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