中国山西省が「まずいタイミング」の雇用対策-石炭輸出拡大目指す

  • 国内最大産地の山西省は業界を守るため輸出拡大を求めている
  • 石炭業界は生産能力削減と130万人の雇用喪失に直面

中国最大の石炭産地である山西省には国内の供給過剰に対する解決策がある。だがそれは米アパラチア山脈からオーストラリアのハンター盆地に至る世界中の鉱山会社に影響を及ぼしかねないものだ。

  中国政府は工業セクターを縮小し、公害に汚染されていない大気を取り戻すため、約9%の生産能力削減を目指している。これは130万人の炭鉱労働者を解雇することを意味し、政府が避けたい社会不安を招く恐れがある。山西省だけでどの国よりも多くの石炭を生産しているが、同省は炭鉱の操業を続け、余剰分を海外に輸出したい考えだ。

  成長が鈍化する中で製造業けん引型経済の転換を進める中国は、過剰な工業生産能力につながった数十年にわたる景気拡大の余波に見舞われている。中国は輸出拡大で余剰に対応し、世界の製鉄会社やアルミニウム精錬企業、石油精製企業の間に混乱をもたらした。中国の大手石炭会社が輸出を増やせば、10年ぶりの安値に悩まされている石炭市場がさらなる問題を抱えることになる。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、アンドルー・コスグローブ氏は「中国の輸出拡大は実にまずいタイミングだ。市場にとって最も起きてほしくなかったことだ」と指摘。「他の国々は供給削減に取り組んでいる」と述べた。

  山西省では昨年の石炭生産が9億4400万トンと、36億8000万トンに上る中国全体の生産に最も大きく貢献し、世界2位の石炭生産国である米国をも上回っている。中国による2015年の輸入は2億400万トンと30%減少し、輸出は533万トンだけだった。中国の石炭業界は600万人を超える従業員を抱えている。

  山西省は今月、新規プロジェクトを抑制し、海外市場を目指す方針を示した。経済の80%を石炭関連産業に頼る同省は、中央政府に輸出枠を削減・撤廃し減税するよう求めている。

  世界的な供給過剰が膨らむ中、石炭相場の崩壊は2011年に始まった。最大の消費国である中国の輸入減少を背景に、価格は60%下落。グローバルコールによると、アジアの代表的な一般炭価格は1月に06年以来の安値に落ち込んだ。

原題:China’s Job-Saving Coal Fix May Mean More Trouble in Appalachia(抜粋)

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