【コラム】経済予測に絡む危険、こうすれば軽減へ-コチャラコタ

米政策当局者が過去8年間に示した経済予測の幾つかは、ひどい誤りだった。こうした間違いが一般の人々の信頼をいかに損なうかを考えれば、どうすれば改善できるかを考える価値がある。

  頭に浮かぶ大きな誤りは次の通りだ。

  2007年3月、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)は議会証言で、「サブプライム(信用力の低い個人向け)市場の問題が経済全般と金融市場に及ぼす影響は抑制されたものとなる公算が大きいと考えられる」と発言。

  09年11月、(私自身もその一員だった)連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの大半は、向こう3年間の米経済の成長率を3.1-4.3%と予想(実際の各年の成長率は平均2%未満)。

  09年1月、オバマ大統領が当時の次期大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に指名したクリスティーナ・ローマー氏は、オバマ政権が講じる刺激策によって、米失業率は10年末までに約7%に改善すると予測(実際は9%を上回って推移)。

  これらのミスは危機を予見したり目標を達成したりする金融当局の能力や、リセッション(景気後退)を和らげる財政刺激策の効力について、一般の信頼に悪影響を及ぼす。信頼の喪失は深刻だ。経済の重しとなるような不透明感の一因となるからだ。さらに、政府への信頼を失わせることで、米大統領選候補指名争いでバーニー・サンダース上院議員やドナルド・トランプ氏が健闘する背景ともなっている。

対策は

  では当局者はどうすれば改善を図れるのか。次の二つの変更が役立つだろう。

  まず当局者が予測を公表する際に、それに関連した不確実性を提示すべきだ。全ての予想には、一般の人々が知っておくべきリスクがあり、統計の分野にはそれを表現する確立した方法がある。例えば、イングランド銀行(英中央銀行)は経済予測とそれを取り巻く誤差の範囲の双方を示すチャートを定期的に公表している。

  次はもっと難しいものだ。政策当局者は自分たちの予想について、一般の人々が単に学術的な予測としてでなく、目標の表明と見なすことを認識しなければならない。サブプライム危機は十分に抑制されるとFRB議長が議会で話せば、金融当局に一般を守るための手段があると暗に語ったことになる。米金融当局者が3-4%の成長を予測すれば、彼らにはそれを実現するための手法と意思があることを意味する。失業率が7%に低下するとの予測をCEAが示せば、その目標達成に必要な事柄を大統領と議会が行うと表明しているのだ。

(ナラヤナ・コチャラコタ氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストで、2009-15年に米ミネアポリス連銀総裁を務めた。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:The Perilous Job of Making Predictions: Narayana Kocherlakota(抜粋)

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