伊藤忠が時価総額で逆転、29年ぶりに三井物産を抜く-資源事業で明暗

  • 三井物産は今期初の赤字見通し、伊藤忠は最高益更新を据え置く
  • 伊藤忠の時価総額は総合商社業界で三菱商事に次ぐ2位に浮上

伊藤忠商事の株式時価総額が29日、約29年ぶりに三井物産を上回った。資源分野を中心とした減損損失の計上で今期(2016年3月期)に創業来初の赤字決算に陥る見通しを23日に発表した三井物産に対して、非資源事業に強みを持つ伊藤忠は期初予想通り過去最高益となる3300億円の純利益を据え置いている。業績の明暗が株価にも反映された形だ。

  この日の三井物産の株価終値は前日比10円(0.7%)安の1334円。時価総額は2兆3965億円となった。伊藤忠の株価終値は0.5円(0.03%)安の1442.5円にとどまり、時価総額は2兆3987億円。伊藤忠・広報部の鷲山淳氏によると同社が時価総額で三井物産を上回るのは1987年4月以来のこと。三菱商事の3兆1666億円に次いで総合商社業界で2位に浮上した。

  ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネジャーは「三井物産の減損額が市場の想定よりも大きかったことに対して、減損リスクも小さく増配方針を打ち出している伊藤忠の株価には当面の安心感がある」と指摘。伊藤忠は今期から3年間の新中期経営計画において毎期ごとに1株当たりの配当金を増やしていく方針を打ち出している。

  三井物産は業績の大幅下方修正とともに来期の配当引き下げの可能性を示唆したことも株価の悪材料となった。

  鉄鉱石や銅などの世界最大の消費国である中国の成長鈍化の影響で商品市況は下げ足を強めた。22種類の主要商品で構成されるブルームバーグ商品指数は過去2年間で約4割下落。その間、三井物産の株価は7%下落したが、伊藤忠は20%上昇した。

   ブルームバーグがまとめた29日時点でのアナリストの今後12カ月間の目標株価の平均は三井物産の1350円に対して伊藤忠は1678円となっている。

  三井物産に続いて三菱商事も24日に今期業績の赤字転落を発表。資源分野での減損処理などを前期までに進めてきた伊藤忠は今期、純利益で初の総合商社トップとなる見通し。昨年7月時点で三菱商事と2兆円弱の差があった時価総額は7700億円弱に縮まった。

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