ヘッジファンドが米国債に殺到、トレーダーはさらなる波乱を警戒

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  • ボラティリティの上昇が米国債市場の不安材料に
  • 外国の中銀など金融当局の保有は2000年以来初の減少

ヘッジファンドが米国債市場に押し寄せており、債券トレーダーはさらなる波乱に身構えている。

  米連邦準備制度理事会(FRB)は今月公表した四半期報告書でヘッジファンドの保有額を明示していないものの、これを含むグループの保有額はこの1年間に過去最高の1兆2700億ドル(約144兆円)に増加した。一方、近年は最大の買い持ち型の保有者だった外国の中央銀行などの金融当局は、年間ベースで2000年以来初めて投資を縮小した。

  ヘッジファンドの米国債保有急増はソシエテ・ジェネラルやコメルツ銀行には心配な兆候だ。ヘッジファンドは借入金を利用し即座に売買するケースが多いことから、安全資産とされる米国債市場に急激な衝撃を与える確率が高まる。そうなれば米国債相場の変動がさらに増幅しかねないという。中国や世界経済への懸念、中銀間の政策の乖離(かいり)を受けて一部指標では相場変動が既に過去最高水準に達している。

  パインブリッジ・インベストメンツの先進国市場投資適格級債券責任者、ロブ・バンデナセム氏は、外国中銀の「市場シェアが、より活発なアプローチを取る民間投資家に置き換えられつつある」と指摘。「ヘッジファンドが特にボラティリティにリスクを突き付けている」と述べた。

  米連邦準備制度が年内利上げの是非を検討する中で、ヘッジファンドが米国債相場の変動を増幅する可能性があるため、相場の回復力への不安は増している。利回りは極めて低い水準にあるだけに、相場の勢いが急変すれば、敏しょう性の低い投資家には特に大きな損失につながりかねない。米10年債利回りは24日、1.9%と、昨年6月のピーク2.5%から0.5ポイント以上低い水準で終了した。

  FRBの四半期報告では、国内ヘッジファンドは「家計と非営利組織」のグループに分類される。アナリストの大半はこれをヘッジファンドの米国債保有の正確な指標として見なしており、家計や個人信託などの保有はさほど重要視されていない。3月10日公表の最新データではこのカテゴリーが昨年の米国債購入者で最大のシェアを占め、3980億ドル増加。年ベースで09年以来最大の伸びを記録した。

  ヘッジファンドは別の方法でも米国債市場における存在感を示している。米財務省のデータによれば、多数のヘッジファンドが低い税率に注目して法律上の本拠とするカリブ諸国の投資家は13年末以降、米国債の保有が43%増加し3520億ドルに拡大。現時点でこのグループは海外勢の米国債保有では中国と日本に次いで3番目に多い。

  その一方で、中国など新興国の中銀による通貨下支えのための資金調達を背景に外国投資家は昨年、唯一の売り方だった。外国投資家は依然として米国債の4割を保有するものの、今年に入っても売りを続けていることが米財務省のデータに示されている。

原題:Hedge Fund Invasion of U.S. Treasuries Puts Bond Traders at Risk(抜粋)

(6段落以降を追加して更新します.)
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