国内商社のCDSに投資妙味、資源安で赤字転落もみずほ証「割安」

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  • 三井物産、三菱商事の社債保証コストは資源安で拡大
  • マイナス金利ではスプレッドが広がっている時はチャンス-BNP

資源安の影響で創業来初の純損失に転落する見通しの三井物産三菱商事について、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などクレジット投資の好機だと市場関係者はみている。財務が健全なのにも関わらず、今期(2016年3月期)ともに赤字に転落することからCDSが上昇しており、マイナス金利下では投資妙味があるからだ。

  23日にチリの銅事業や豪州の天然ガス事業などで2600億円の減損を計上すると発表した三井物産のCDSは、18日から24日までに20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、82.5bpに達した。24日に4300億円の減損計上見込みを発表した三菱商事のCDSも同時期に17bp上昇し、71.5bpとなったほか、住友商事や丸紅のCDSもそれぞれ拡大している。

  新興国を中心とした需要減退を背景に、銅価格は1月に7年ぶり、石油価格は2月に13年ぶりの低水準に達するなど資源価格は急落。既に発表済みの住友商事の減損を含めると大手商社5社の今期の減損は計1兆円近くとなる見通しだ。格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、三井物産と三菱商事の格付けを「A」に1段階格下げした。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、「商社はこれまでの蓄えがあり、損として出しても大丈夫」として、資本基盤が強固なため、損失吸収能力はあると指摘する。1月の日本銀行の追加緩和決定を受けて、「世の中マイナス金利であり、スプレッドが広がってきている時はチャンス。イベントをうまくとらえることがリターンを上げるには良い」と話す。

銅市況の低迷

  三菱商事は、11年11月に取得したチリの銅資源の権益企業の保有株式の投資簿価を約4700億円としていたが、銅市況の低迷を受けて16年3月期決算で約2800億円の減損を行うと24日に発表。三井物産も同じチリの銅事業に出資しており、関連して約1150億円の減損を今期に実施すると23日に明らかにした。

  25日付のみずほ証券のリポートによると三井物産と三菱商事の実質的な株主資本は昨年12月末時点で各3兆8465億円、5兆5102億円。戸野祥吾シニアクレジットアナリストは、「株主資本の厚みが特に評価できる。これだけの減損を出しても、エクイティの1割に満たない」とし、減損損失の信用力への影響は限定的との見方を示した。みずほ証は、商社セクターのクレジット投資判断を「強気」、社債とCDSのスプレッド水準を「割安」としている。

「損失は一過性」

  三菱商事の残存5年社債の対国債スプレッドは25日時点でそれぞれ34bp。三井物産の残存6年の同スプレッドは36bp。日銀のマイナス金利導入後の国債金利下落の影響もあり、この2社債のスプレッドは3月に発行後最高水準まで拡大した。

  三井物産の広報担当者は電話取材に対し、厳しい環境下だが、足下のキャッシュフローは順調のため資金調達に懸念はないと語った。三菱商事の担当者はコメントを控えた。

  大和証券の阿部聖史シニアクレジットアナリストも、「損失は基本的には一過性。もともとの財務体質も強いので、それほど過度に懸念する必要はない」とし、「CDSのプレミアムが大きく乗った状態では投資の検討対象になり得る」と話した。 

格下げでスプレッド拡大も

  S&Pとムーディーズ・インベスターズ・サービスは、三井物産、三菱商事の格付けを引き下げる方向で見直している。S&Pの柴田宏樹主席アナリストは、総合商社の格付けにおいては、「株主資本とリスクアセットのバランスがとれているかを最も重視している」と説明。三井物産の格付けについては、「利益水準の回復とともにリスクアセットがどのぐらい増加するのか、抑制するのかを確認してから格付けを見直したい」と語った。

   BNPパリバの中空氏は、一段の格下げが行われればスプレッドが拡大する可能性を指摘し、両商社に投資する「タイミングとしては格付けが落ちた後が良いが、それがいつかはわからない」と語った。

(第10、11段落を追加して、更新しました.)
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