【今週の債券】長期金利上昇か、オペ減額を消化できていないとの見方

  • 長期金利の予想レンジは全体でマイナス0.13%~0.00%
  • 10年入札を控えたセットアップが始まる可能性-メリルリンチ日本証

今週の債券市場では長期金利が上昇すると予想されている。日本銀行が先週に超長期ゾーンの国債買い入れオペを減額した影響が残るとの見方に加えて、翌週に控えている10年債入札に対する警戒感が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.13%~0.00%となった。前週はマイナス0.08%まで上昇する場面があったものの、おおむねマイナス0.10%付近でもみ合いとなった。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「日銀が先週超長期債オペの減額を通じて送ったメッセージを、市場はしばらく消化できないだろう。少なくとも日銀オペの4月スケジュールを見るまで、押し目買いが優勢になることも想定しづらい」と指摘。「4月以降も減額後の買い入れ額を維持するようであれば、市場は日銀は過度なフラット化に警戒感を持っており、少なくとも追加緩和で国債買い増しを選択する可能性は低いと解釈するようになるだろう」と言う。

  日銀が24日に実施した長期国債買い入れオペで、残存期間「10年超25年以下」の購入額を前回の2600億円から2400億円に、「25年超」を1800億円から1600億円にそれぞれ減額した。これを受けて、超長期ゾーンの需給が緩和するとの見方が広がり、新発物は20年物、30年物、40年物の利回りが軒並み大幅に上昇した。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「注目は日銀買い入れオペでオファー金額の増減があるかどうか」だと指摘。「特に25日の入札から減額となった2年債を中心とした中期ゾーンの買い入れが減るようなことがあれば、相場はやや荒っぽい動きになる」と言う。

  31日午後5時には、日銀が当面の長期国債買い入れ運営方針を発表する。3月は前月から変更がなかった。しかし、4月からは2年債、5年債、20年債の毎月の発行額が減額されるため、それに伴ってオペの金額変更が見込まれている。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「オペがどうなるかだが、24日の結果は超長期ゾーンの札割れが回避された。応札も増えている。今回の金額でいけそう。さらなるオペ減額もなさそう。それが確認されればしっかする。取り戻す動きも出るだろう」と話した。

  国内経済指標では4月1日に日銀の企業短期経済観測調査(短観、3月調査)が発表される。ブルームバーグ調査によると、大企業・製造業の業況判断DIは、プラス8と前回から4ポイント悪化する見通し。大企業・非製造業DIはプラス23と前回から2ポイント悪化の見通し。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

*T
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
先物6月物=151円15銭-152円15銭
10年物国債利回り=マイナス0.125%~マイナス0.025%
  「基本的に年度末は大きく動かない。ただ、4月1日だけは2016年度初めの入れ替え売買があるのではないか。長い年限を売って、短い年限を買う方向だろう。動くとすれば金利低下よりも上昇の方向ではないか。もっとも、市場の流動性が落ちているので、売りに応じられる人もいないとみている。プラス利回りの国債が減っているので売りも少ないだろう。不用に益を出し過ぎる必要もないので、売るニーズもない」

◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
先物6月物=151円00銭-152円00銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.10%~0.00%
  「年度末で投資家の売買も一巡しており、流動性が落ちやすい。国債入札はなく、日銀の買い入れオペのみの状況。このため、値動きそのものは限定的になるのではないか。4月5日の10年債入札を控えたセットアップが週後半から始まる可能性もあり、徐々に売り圧力が高まるかもしれない。先週末の2年債入札は堅調な結果だった。海外勢の需要や日銀の買い入れを見越した買いのほか、根強い追加緩和期待も低金利での入札を支えたのではないか」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物6月物=151円65銭-152円10銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「この調子だとやや買われそう。いったん超長期が崩れたが、入札がない上、日銀買いオペが入る。中短期ゾーンに安定感があるので売られそうにない。期末なので大きな動きは終わり、ややしっかりの感じ。フラットニングのアンワインドの動きしかなかった。短いゾーンは売られていない。短いゾーンがアンカーになり20年も買いやすくなる。今慌てて買う必要はないが徐々に相場はしっかりしそうだ。ボラタイルな相場も結局落ち着いてきた」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物6月物=151円60銭-152円20銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「日銀短観は予想通りに企業の景況感がさえないということを確認し、金利が低位で張り付く要因になるのではないか。米指標が比較的良く、6月利上げ説が浮上。これが足元の円安・日本株高の要因となっているが、この程度では金利押し上げ要因にはなりにくい。米景気についても評価がまちまちで、6月利上げを肯定する材料も見込めない。年度末だが債券で益出しが必要といった声はあまり聞かれておらず、売りが出たとしても影響は限定的ではないか」
*T

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