米GDP統計の裏面に景気後退の陰、企業利益が2008年以来の大幅減

昨年第4四半期の米国内総生産(GDP)確定値は表面だけをみると、改定値に比べ少し明るい内容になったように見える。前期比年率1.4%増と、改定値の1%増から上方修正された。個人消費支出が改定値よりも伸びたことが主因だ。

  しかし、ヘッドラインの数字に隠れているが、懸念材料もある。企業利益は前年同期比で11.5%減と、リーマン・ショック直後で、金融危機の真っただ中にあった2008年第4四半期の31%減以来の大幅なマイナスとなった。15年通年でも税引き前ベースで前年比3.1%減と、08年以来の大幅なマイナスだ。

  米調査会社IHSのチーフエコノミスト、ナリマン・ベーラベシュ氏は「悪いニュースだ」と話す。過去を振り返れば、企業利益が減少すると経済全体も追随しリセッション(景気後退)に向けて下降することがよくある。利益減に苦しむ企業が雇用や投資を切り詰めるためだ。

  そのような暗い結論に至るには注意も必要だ。英BPが2010年にメキシコ湾で起きた原油流出事故の賠償で208億ドル(約2兆3533億円)を支払ったため、企業利益が抑制された面もある。ブルームバーグの算出によると、その影響を除くと、企業利益は7.6%前後の減少となる。それでも弱いが、11.5%減ほど悪くはない。

  ベーラベシュ氏も利益減少が石油、石炭産業にほぼ集中している点を指摘する。エネルギー価格の急落で両産業の利益は75%超も落ち込んだ。そのため、経済全体という観点から見ると、不安は弱まる。

  三菱東京UFJ銀行のチーフ金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏は電子メールで、「企業利益の伸びは経済にとって成長のエンジンだが、原油相場の急落に関連しているようなので、この日のこの統計を過去のものとみなしている」と指摘した。

  JPモルガン・チェースのエコノミスト、ジェシー・エジャートン氏はそれほど楽観的でもない。同氏は顧客向けの電子メールで、弱い企業利益は原油安に苦しむエネルギー企業やドル高から打撃を受けた製造業企業が原因だと指摘した。「しかし、労働市場のタイト化や賃金上昇、生産性の弱い伸びによる利ざや縮小の始まりを反映している可能性が高い」とし、不安な材料だとの見解を示した。
  

原題:Behind U.S. GDP Data Is Reason for Recession Worry: Weak Profits(抜粋)

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