JR北海道は26日、北海道新幹線を開業する。航空旅客になじみのラウンジサービスを東京駅で利用できるほか、航空機のファーストクラス並みのシートも車両に備える。東京から北海道まで約4時間のくつろいだ旅行が可能となり、飛行機と旅客の争奪になるとの見方も出ている。

  北海道側の終着駅は新函館北斗駅で、ここから新青森駅までの区間をJR北が担い、最高時速260キロ、1時間1分で走行。新青森ー東京間はJR東日本が運行し、10両編成の「はやぶさ」が東京-新函館北斗を最速4時間2分で駆け抜ける。1日10往復の予定。JR東は昨年12月、開業100年の東京駅に伝統と新しさを融合した高級ラウンジを設置しており、北海道と行き来するプレミアム乗客をもてなす。

  民営化前の日本国有鉄道は1964年、東京五輪直前に東京-新大阪間で日本初の東海道新幹線を開業。72年には山陽新幹線が運行開始した。政府は、70年に成立した全国新幹線鉄道整備法に基づき5路線の整備計画を決定。東北や北陸などに続き、北海道も開業することになった。

  楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは、「当初ビジネス需要が低いとみられた東北・長野両新幹線は旅行客を取り込んで成功している」と指摘。北海道新幹線についても「移動のため4時間を車両の中で過ごすのは退屈だ。周辺の観光地向けで飛行機との競争で優位を確保するには、サービス分野などでの特別な仕掛けが必要になる」と述べた。

航空機との競争

  羽田空港から函館まで、飛行機では約1時間20分。スピードでは飛行機が優勢だが、快適さでは新幹線も引けをとらない。飛行機のファーストクラスに相当する北海道新幹線のグランクラスはシートの横幅52センチ、座席間137センチ。一方、ANAのボーイング787のプレミアムシートは横幅50センチ、座席間は約127センチと、新幹線の方がゆとりがある。

  料金面では、ANAの羽田ー函館間の片道チケットが4万4900円なのに対し、北海道新幹線は東京-新函館北斗間の普通車指定席で2万2690円。グリーン車は3万60円、グランクラスは3万8280円となっている。

  JPモルガン証券の呂丹アナリストは、料金面では新幹線が航空機よりアドバンテージがあるとして、「標準的な価格を比べれば新幹線のほうが安いのは確か。そのため一部旅客は新幹線利用にシフトする可能性はあるが、問題は果たしてそれがどの程度になるかだ」という。

  ANAの篠辺修社長は2月2日の会見で、「すぐに航空会社がお客を取られることはないと考えており、様子を見て対応を考える」として、当面は静観する姿勢だ。その上で「新幹線開通でむしろ全体の需要が盛り上がるだろう」と前向きにとらえている。投資会社アトランティス・インベストメント・リサーチのエドウィン・マーナー社長は、「旅行客を一定数確保できるのは確信しているが、この区間の利用頻度の高い顧客は依然として航空機を使うだろう」と言う。

予約は5万席

  JR北海道の東京事務所、山澤慶次郎副所長は「1カ月前の2月26日に販売した開業日の1番列車は新函館からの上り線が25秒、東京からの下り線は30秒で完売した」と言う。また「新青森-新函館北斗間の開業から9日間で既に約5万席の予約が入っている。これは前年の在来線比3.7倍で、まずまず順調だ」と話す。

  山澤氏によると、1日当たりの利用客は約5000人の見込み。政策投資銀行が2014年に発表した資料によると、北海道新幹線開業で道内への経済波及効果は年間約136億円。観光やビジネスの交流増加でさまざまな分野で消費が増加するとしている。

課題は札幌延伸

  北海道と本州をつなぐ青函トンネルが完成したのは1987年。当初から新幹線の運行を想定した構造となっていたが、在来線の利用に限られていた。約30年を経てようやく新幹線が海底を駆け抜ける。しかし、北海道新幹線はまだ発展途上だ。安倍政権は新函館北斗から札幌間の約212キロの工事について、地元などの要望を受け、当初の35年末から5年前倒して30年度末の開業を目指している。

  収益はJR北と東が分け合う形になるが、バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、JR東について「収益に大きく寄与するレベルには最終的な札幌までの新幹線完成が必要」として、「開業が与えるプラス効果は限定的だ」と話す。札幌まで延伸されれば、「外国人を含む多くの旅客需要が見込め、株価にも大きく影響してくるのではないか」との見方を示している。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE