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一人旅が生んだ売買アプリのメルカリ、新興企業の「野茂」目指す

  • 日本初のユニコーン、先駆者として米国に挑戦
  • 個人同士が物品売買、ダウンロード数は日米で3200万

スマートフォンを通じ消費者同士が物品を売買するアプリ「メルカリ」は、創業者で社長の山田進太郎氏(38)の世界一周から始まった。

  山田氏は10日のブルームバーグとのインタビューで、さまざまな生活レベルや価値観に触れる中で、新しいサービスが「世界的に、はやるのか」という視点を身に付けることができたと話した。山田氏は2012年、34歳で会社を退職し、インドや南米、アフリカなど主に発展途上国を半年ほど1人で旅をした。帰国後、日本でのスマホの広がりを見て、世界的に普及すれば「お金や物、サービスを交換するようなプラットホームが必要になってくるだろう」と考えたことが、メルカリの開発につながった。

Shintaro Yamada

Shintaro Yamada at the Victoria Falls

Source: Shintaro Yamada

  13年2月に創業したメルカリは今年3月、三井物産などから84億円を調達。日本で初めて、10億ドル(約1100億円)超の企業価値を持つ非公開ベンチャー企業を指す「ユニコーン」(まれな存在として「一角獣」に例えられる)になった。メルカリを使えば、雑貨や服、本などさまざまなものを簡単にスマホで売買できる。メルカリは取引完了後、出品者から売り上げの10%を手数料として受け取る。日本でのダウンロード数は2500万、米国でも700万に上り、月間流通額は国内で100億円を超えた。

  調査会社ニールセンのシニアアナリスト、今田智仁氏はメルカリの成功の主因は「スマホ利用者の増大」だと分析。アプリが使いやすく、若い女性客を多く取り込んだことが「好循環を生んだ」と指摘した。

攻撃は最大の防御

  現在は、米国での規模拡大に力を入れており、調達資金の一部を充てる。米国で拡大できなければ、そこで成功した同種のサービスが日本に進出した場合、迎え撃つのは困難という考えからだ。山田氏は「攻撃は最大の防御」だと話した。

  調査会社アップアニーによると、メルカリは国内では、米アップルの基本ソフト向けショッピングアプリ部門のダウンロード数ランキングで上位を保っている。一方、米国ではイーベイやアマゾン・ドット・コムなどに阻まれ、首位に立ったことはない。

  岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは、メルカリが手掛ける消費者同士の売買は拡大が期待される市場の一つだと説明。他社よりも早く「ブランドや認知度を獲得する必要がある」と述べた。

  ユニコーンには、スマホを使った配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズや宿泊施設紹介サービスの米エアビーアンドビー、中国スマホメーカーの小米など世界的に有名な企業が名を連ねる。メルカリもユニコーンの仲間入りをしたことで、社員採用への応募が増えるなど好影響があり、報道を見た米国や欧州の友人から山田氏も祝福のメールを受け取ったという。ただ「まだまだポテンシャルは織り込まれていないと思っている」と話す。

スタートアップの先鞭

  ユニコーンの企業価値を集計する調査会社CBインサイツのウェブサイトによると、日本のユニコーンはメルカリのみ。米国が最も多い92社で、中国が26社、インドが7社。山田氏は、米大リーグで活躍した野茂英雄氏やサッカーの中田英寿氏のように、世界で活躍する日本のスタートアップの「先鞭(せんべん)をつけたいと思っている」と述べた。

  山田氏は早稲田大学在学中に楽天でオークションサイトの立ち上げを経験。卒業後にウェブサービス開発会社のウノウを設立、「映画生活」や「フォト蔵」などを手掛けた。ウノウは10年に米ジンガに売却した。自身も投資家として、十数社のスタートアップに関わる。

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