シャープ株が急落した。台湾の鴻海精密工業が、シャープの買収を2016年1-3月期の業績見通しが明らかになるまで延期することを検討していると、複数の関係者が明らかにした。契約は来月以降になる可能性が高まった。

  シャープ株は16日、一時、前日比13%安の133円まで下落。終値は同12%安の134円だった。

  関係者によると、鴻海はシャープと監査法人に最新の業績について説明するよう要請した。シャープは今期(16年3月期)、営業損益で100億円の黒字を予想しているが、アナリストの予想平均は239億円の赤字。

  シャープの買収をめぐっては、鴻海と日本の政府系ファンドの産業革新機構が支援策の提案で競ってきたが、シャープは2月25日の取締役会で郭台銘(テリー・ゴウ)会長が率いる鴻海からの支援受け入れを決めた。しかし決定直後に鴻海は、シャープが提出した「新たな重大情報」について精査する必要があるとして、正式契約を延期すると発表した。

  ジェフリーズ・グループのシニアアナリスト、アツール・ゴーヤル氏は「1-3月期の赤字は分かりきったことで、契約が破談になるような驚きではない」と説明。契約延期は「鴻海側の駆け引きのように思える」と述べた。

  シャープ広報担当の植村豊土氏は「期限は設定していないが、可能な限り早期の最終契約締結を目指し、協議を進めている」と回答した。

優先株買い取りで減額も

  シャープの発表では、鴻海はシャープが第三者割当で発行する新株を総額4890億円で取得し、議決権ベースで66%の株式を保有する筆頭株主となる。また主要取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が保有する優先株のそれぞれ半数を総額1000億円で買い取る。またジャパン・インダストリアル・ソリューションズが250億円で取得した優先株も両者が合意した価格で買い取るとしている。別の関係者によれば、一定の条件の下で、鴻海は銀行からの優先株買い取りで減額を求める可能性があるという。

  鴻海は12年に、約670億円のシャープ株を第三者割当で引き受けることで合意したものの、シャープ株の下落を受け、引き受けなかった経緯がある。エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、シャープにとっては「1カ月程度の延期であれば影響はない」と話した。

  鴻海はスマートフォンなどの受託製造を行っており、時価総額が4兆円を超える世界最大の電子機器受託製造会社。米アップルを最大顧客とし、iPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)を製造する。郭会長は鴻海を一代で築いた創業者で現在も筆頭株主。