債券相場は大幅安。長期国債先物3月物は、「ダイナミック・サーキット・ブレーカー」が発動され、一時取引を停止する場面があった。前日の急激な相場上昇の反動に加えて、日本銀行が実施した国債買い入れオペで需給の緩みが示されたことが手掛かりとなった。

  9日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比15銭安の152円23銭で始まった後、いったん6銭安の152円32銭まで値を戻した。その後は売りが優勢となり、午後の取引開始後には一時96銭安の151円42銭まで下落し、日中取引ベースで2月18日以来の安値を付けた。東京証券取引所マーケット営業部兼大阪取引所市場企画部の高橋正記氏によると、午後0時32分58秒にダイナミック・サーキット・ブレーカーが発動され、30秒間取引を停止した。結局、77銭安の151円61銭で引けた。

先物中心限月の推移
先物中心限月の推移

  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、「日銀の国債買い入れオペで実勢よりも結果が弱くなった。昨日の相場は行き過ぎだったという見方になり、売られた。特に10年から25年のゾーンのところが甘かった。まとまった売りがあったもよう」と話した。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より2ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.08%で開始。その後は徐々に水準を切り上げ、マイナス0.015%まで上昇している。新発20年物の155回債利回りは一時18bp高い0.485%まで上昇。新発40年物の8回債利回りは18bp高い0.74%まで上昇している。

  UBS証券の井川雄亮デスクストラテジストは、「前日に急激に買われた反動で売られており、さすがに調整が入っている。マイナス金利が導入されて以降、ニューノーマルの需給環境にある」と話した。

  日銀が実施した今月3回目となる長期国債買い入れオペ3本(総額8900億円)の結果によると、残存期間「10年超25年以下」と「25年超」の応札倍率が前回から上昇。売り圧力が強まっていることが示された。一方、「5年超10年以下」は低下した。

  SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「債券相場は後場寄りから急落した。日銀オペで10年超25年以下がかなり甘かった。20年ゾーンが起点になった感じだ。来週に入札を控え、10年債との利回り格差がタイト化して割高感が高まった可能性がある」と話した。

  前日の国内債市場では、予想を大幅に上回る30年債入札結果を好感し、残存期間の長い債券を中心に買われた。長期金利はマイナス0.10%、新発20年債利回りは0.305%、新発40年債利回りは0.545%と、いずれも過去最低を更新した。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「相場は昨日の反動で売られている展開。30年債入札は1社に集中していたもようで、そういったことからショートカバーが誘発され、債券の大幅なラリーにつながったことが背景にあったようだ。流動性が低いことも、こうした動きに拍車を掛けており、その分、反動も大きくなりがち」と語った。

  財務省はあす10日、5年利付国債の価格競争入札を実施する。発行予定額は前回債と同額の2兆5000億円程度。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。

  メリルリンチ日本証の大崎氏は、「明日にかけてどれくらい調整するかにもよるが、入札のリスクとしてはやはりテールが大幅に流れて弱い結果となることだろう。少なくとも今の相場は、マイナス金利を織り込んだ相場というよりも、日銀の買いを織り込んだ相場という感じになっている。それでこれだけ相場がラリーした後だけに、5年債利回りが動けば超長期債にもそれなりに影響が波及する可能性が高い」と述べた。

  新発5年物126回債利回りは6.5bp高いマイナス0.165%まで上昇している。

  8日の米国債相場は上昇。米10年債利回りは前日比8bp低下の1.83%程度で引けた。原油先物相場や米株式相場が軟調に推移したことに加えて、日本国債が上昇した流れも波及した。S&P500種株価指数は同1.1%下落した。

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