鴻海のシャープ買収、4年越しの念願かなう直前に待った

更新日時
  • 偶発債務に関する新たな情報を精査-関係者
  • 郭会長と高橋社長は週末に会談-関係者

シャープへの出資機会をうかがってきた鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長の4年越しの念願がかなおうとした直前、待ったをかけたのは郭会長自身だった。

  事情に詳しい関係者によると、鴻海は今週になって、シャープが3000億円を超える可能性のある偶発債務を抱えていることを知り、シャープ買収の正式契約延期に踏み切った。構造改革や人員整理など一定の状況でシャープが支払わなくてはならない債務という。

  鴻海は25日夜、シャープが24日朝に送付した「新たな重大情報」について精査する必要があるため、状況が十分に把握できるまで買収の正式契約を延期すると発表した。シャープが25日、臨時取締役会を開き、鴻海の買収を受け入れることを決定したと明らかにしたわずか数時間後だった。

  別の関係者によると、鴻海の郭会長とシャープの高橋興三社長は週末に会談する予定。また問題の解決のため、金融関係者や弁護士が協議を行う。

  サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、アルベルト・モエル氏は「4年間にわたり追いかけてきた企業のデューディリジェンス(資産査定)をやってこなかったのは奇妙なことで、正式契約のずっと前に簿外の偶発債務について知っておくべきだった」と話す。

  シャープの株価は26日、一時前日比16%安の125円まで下落した。前日に続く急落で、同11%安の132円で取引を終えた。

  シャープの発表によると、鴻海はシャープが第三者割当で発行する新株を総額4890億円で取得し、議決権ベースで66%の株式を保有する筆頭株主となる。調達した資金は携帯電話の画面に使う有機EL量産に向けた設備投資のほか、人工知能やインターネットにつないだ製品の開発に投入する。

潜在リスク

  鴻海は偶発債務について、秘密保持契約を理由にコメントしなかった。シャープは26日、鴻海との間で「潜在的なリスクを含む経営状況に関する確認作業」を行っていると発表した。偶発債務については会計基準に基づき適切に開示しており、それ以外に開示が必要と認識しているものはないとした。

  エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「偶発債務自体は日本の会計基準では額を開示する必要はない」とした上で、「引当金を積む必要がないので開示していなかったはずなので、リスクはそれほど大きくなかったと認識している」と話した。

  鴻海は2012年に、約670億円のシャープ株を第三者割当で引き受けることで合意したものの、その後シャープ株が下落したことから実現しなかった経緯がある。

(第4段落に郭会長との高橋社長の会談について追加しました.)
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