「Brexit」で憂鬱な英国人-夏休みの米国や大陸が遠くなる

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  • ポンド安は夏休みの旅行シーズンまで続いている見込み
  • 海外旅行でかかる費用は「為替相場次第」

ロンドン在住のレーチェル・ホルズワースさんは憂鬱(ゆううつ)な気分だ。その原因は英国の欧州連合(EU)離脱を指す「Brexit」をめぐる騒ぎにある。

  5月にノルウェーに旅行することにしているのだが、ただでさえお金のかかるこの旅行の費用が1日ごとに高くなっていく。国民投票でBrexitが支持されるとの懸念から、ポンドがどんどん値下がりするからだ。

  「幾らかかるかは完全に為替相場次第。ノルウェーは最良の時期でも物価が安くはないのに」とホルズワースさんはため息をつく。

   夏休みを楽しみに暗い冬に耐えている他の英国人たちも気分は同じだ。ポンドは今週、全ての先進国・地域通貨に対して下落している。おかげで米フロリダ州のディズニーワールドも、パリで飲む高級ワインも、ノルウェーのフィヨルドで乗るカヤックも、英国人にとっては高くなった。

   ポンドはドルに対して2009年来の水準まで下落し、5年平均を約12%下回った。対ユーロでは5年平均をなんとか2%前後上回る水準。

  外貨両替会社、ワールド・ファースト・UKのチーフエコノミスト、ジェレミー・クック氏は「私のように米国で夏休みを過ごす予定をもう入れている人は皆、目先の波乱が早めに収まることを祈っているだろう」と話す。

遅過ぎる

  残念ながら、夏より前に落ち着くことはない。EU残留・離脱を問う国民投票の実施日は6月23日だからだ。投票で残留が選ばれても、夏の旅行シーズン前にポンド相場が回復するには遅過ぎる。

  HSBCホールディングスのストラテジストらは24日のリポートで、「英国からの今年の夏休み旅行には厳しい環境だ」と指摘した。

  逆に大陸からロンドンに観光や買い物、観劇に行くのは割安になるわけだが、それでも海底トンネルで英国と大陸をつなぐ列車を運行する仏グループ・ユーロトンネルの株価は24日、約3年ぶりの大幅下落を演じた。英国のEU離脱懸念が原因だったという。

  国民がBrexitを選べば、ポンドは国民投票後1週間以内に現在の1ポンド=1.4ドル前後から1.35ドル以下まで下落すると、ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト34人中29人が予想した。そのうち大半は秋までに値下がり分の多くが戻ることはないともみている。また、残留派キャンペーンの資料によれば、ゴールドマン・サックス・グループは離脱の場合ポンドが20%下落する可能性を指摘している。
  

原題:‘Brexit’ Blues as Plunging Currency Pounds U.K. Vacationers (1)(抜粋)

(最終段落にポンド相場予想を追加します.)
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