JERA:韓中企業とLNG調達で連携-3社で世界取引量の4割

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  • JERA、韓国ガス公社、中国海洋石油が26日にも協力で基本合意へ
  • 市場には構造的な問題、今が改革の好機-買い手が連携

東京電力と中部電力が設立した火力発電用の燃料調達会社JERA(ジェラ)は、韓国ガス公社、中国海洋石油の両社と液化天然ガス(LNG)の調達で協力する。世界最大級の買い手3社が連携することで、調達価格の低減や地域によって異なる価格差の是正を狙う。

  JERA燃料調達部の佐藤裕紀部長はブルームバーグのインタビューで、早ければ26日にも3社が協力で基本合意することを明らかにした。合計のLNG輸入量は世界全体の取引量の約4割を占めることになり、LNGの調達や上流事業への投資、在庫調整のための相互融通などに共同で取り組む。将来的には、アジア域内の需給を反映する価格指標の確立でも協力したい考えだ。

  7月に東電、中部電の燃料事業が統合されると、JERAのLNG輸入量は世界最大の年4000万トンになる見込み。韓国ガス公社の14年の輸入量は同3600万トン、中国海洋石油は同1400万トン。佐藤氏は連携の意義について「主要な買い主が協力することによって、欧米に比べ、いわば不条理なプレミアムが課されてきたアジア市場の健全な発展に寄与したい」と語った。

  欧米では天然ガスのパイプライン網が整備されている。一方、パイプライン網がなくLNGの輸入に頼らざるを得ないアジアでは、原油価格連動で価格が決められることが多い。そのため、両地域間で価格に大きな開きがあった。1バレル=100ドルを超えていた原油価格が30ドル前後まで低下したことで、現在ではアジアの割高感は弱まっている。しかし佐藤氏は「構造的な問題は解決したわけではない」とし、今こそが改革のチャンスとの考えを示した。

  一部のアジア向けLNGの長期契約には、売り手が買い手の転売を制限する仕向け地条項と呼ばれる条件が付けられている。また、原油連動の価格決定方式では原油価格が反発したときに、調達価格が再度欧米よりも大幅に割高な水準になる可能性もある。

  コンサルティング会社クラヴィス・エナジー・パートナーズの玉水順蔵代表は「契約のフレキシビリティを獲得するには十分に意味があるコラボレーション」とし、仕向け地条項を外したり、輸入数量を買い手の状況に応じて柔軟に変えられるような条件を獲得できる可能性があると話した。

  韓国ガス公社広報担当のソン・キュチョル氏は、3カ国の代表者が協議しているとしたものの詳細な情報はないと話した。中国海洋石油の広報担当からは回答が得られなかった。

  財務省の貿易統計によると、東京電力福島第一原子力発電所の事故以前の2010年までは7000万トンを下回るレベルだった日本のLNG輸入量は、年間を通じて全原発が停止した14年には過去最高の8851万トンに膨らんだ。原発の再稼働が始まった15年には8505万トンに減少している。

  クレディ・スイス・グループのアナリスト、デビッド・ヒューイット氏らは2月5日に発表したリポートで、LNGは18年から21年にかけて世界的に年1400万-2100万トンの供給過多になるとの予想を示した。中国はすでに今年700万-800万トンの余剰となるほか、韓国も今年から、日本でも来年から供給過多に転じると見込んでいる。需給環境が変化することから、需要家間で連携し柔軟に在庫を調整できる仕組みの必要性が高まっている。

  コンサルティング会社IHSのアナリスト、ジェームス・タバナー氏は電子メールでの問い合わせに対し、アジアの需要家が今後のLNGの調達計画策定の難しさに直面する中で、とりわけ日本の電力会社が、見通しづらい原発再開のスケジュールや電力小売りの全面自由化といった難題を抱えているとコメント。この連携が企業間のLNG融通の円滑化につながるのであれば、非常に魅力的な取り組みになると指摘した。その上で、アジア域内の需要家間のLNG融通やスポット市場の発展に向けた第一歩になるとの見方を示した。

(第6段落と最終段落に識者のコメントを追加して記事を更新します.)
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