日本郵政G:「株主優待」見送りへ、持ち株・金融2社で-来年度

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日本郵政グループが「株主優待」を実施しない方針であることが分かった。日本で同制度を採用する上場企業が年々増加している中、上場直後の導入は見送ることになる。郵政グループ3社は主に個人投資家向けに政府が保有株を売却して昨年11月に上場した。

  持ち株会社の日本郵政とゆうちょ銀行かんぽ生命は現在、株主優待制度を新たに設ける計画はなく、来年度は実施しない考え。それ以降についても現時点では未定としている。各社の広報担当がブルームバーグの取材に明らかにした。

  日本の上場企業では全体の約3分の1が年に1回から4回の優待を実施しており、株主は自社製品やサービスの優遇が受けられる。郵政G3社の株価は、日銀のマイナス金利導入が収益にもたらす懸念などを背景に、新規株式公開(IPO)での売り出し価格を一時下回るなど下落基調にある。

  SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、配当に加え「株主優待は株価の下落を食い止める非常に大きな力がある」という。配当を増やすことが現実的でなく「日本郵政の株価が落ち込む中では、それこそ行うべきことだ」と指摘した。

  日本郵政の井上浩昌広報担当は「現時点で、来年度株主優待を付ける予定はない」と述べた。また、ゆうちょ銀の萱沼隼士広報担当も同様に回答。かんぽ生命の島田文晴広報担当も来年度に実施する予定はなく、今のところ「将来的にも導入は検討していない」と話した。

金利優遇から1デーパスポートまで

  野村インベスター・リレーションズの調査によると、1月末時点で1289社(REITなどを含む)が株主優待を実施している。この社数は過去最多で、上場企業の3社に1社が同制度を導入していることになる。

  優待の内容は食品から金券までバラエティーに富む。三菱UFJフィナンシャル・グループではピーターラビットのノートやバスタオルなどのオリジナルグッズを提供、また日本株の売買手数料の割引や預金金利優遇が受けられる。オリエンタルランドは東京ディズニーランドの1デーパスポートなど、ANAホールディングスは国内線割引やホテル優待などを実施している。

個人投資家

  日本郵政G3社は2015年11月、同年では国内最大となるIPOにより1.4兆円にも上る資金を市場から調達した。知名度の高い国営事業の民営化案件で個人投資家からの人気は高く、これを機会に証券口座を新規開設する動きが目立った。上場に先立ち全国で開催された説明会には70-80歳の高齢者が目立ち、預金を取り崩し人生で初めて株式に投資するという人もいた。

  SBIの藤本アナリストは、株価が軟調に推移するす中、「株主優待の人気は高まっている」とみている。「配当を増やすことが現実的でないならば、せめて優待を行うことが個人投資家の要求だろう」とし、実施しないなら「株主軽視とも捉えられる可能性がある」と指摘した。

英文記事:No Freebies for Japan Post Shareholders as Group Shuns ‘Yutai’

(第8段落に個人投資家の動向について追加します.)
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