中国:ゲノム編集技術で米と競合-政府が研究資金提供で後押し

遺伝子を操作するゲノム編集技術をめぐり、将来性のある技術開発を進める米企業の前に、中国政府という手ごわい相手が現れた。

  中国は従来からゲノム研究で実績を積み上げることに腐心し、同国政府は「CRISPR」と呼ばれる新技術に資金を投入、技術の発展に向け研究者を鼓舞している。中国の科学者は同技術を使って、真菌性病害に耐性のある小麦や、筋肉量を増強した犬、脂肪分の少ないブタの開発などにいち早く応用したと主張している。

  米カリフォルニア大学デービス校医学部細胞生物学・人体解剖学科のポール・ノフラー准教授は、「私のランク付けではCRISPRの研究国では現在米国がトップ、中国が2位だ。両国ともこの分野でかなり強みを持っている」と述べた。

ゲノム編集技術によるビーグル犬の「ヘラクレス」(左)と「天狗」

Photographer: Qingjian Zou via Bloomberg

  ボストン・コンサルティング・グループによる昨年9月時点での推計によると、ゲノム編集に携わる米企業は2013年以来10億ドル(約1120億円)超の研究資金を集めた。エディタス・メディシン、インテリア・セラピューティクス、ポセイダ・セラピューティクスといった米バイオテクノロジー企業がCRISPR技術を使って健康障害の治療に役立てることを研究している。

  エディタスは今月に入って新規株式公開(IPO)で約1億900万ドルを調達。CRISPR技術は新治療法確立に有効かどうか証明されていないが、世界の医薬品企業は遺伝子治療で将来性のある手段だと判断している。

「特別な資金」

  中国広東省広州市の中山大学の研究グループは昨年、血液疾患のサラセミアを引き起こす遺伝子の編集を目的としたヒトの胚のCRISPR研究を初めて報告した。研究は中国国家自然科学基金委員会と国家重点基礎研究の少なくとも2つの政府系機関が一部資金を負担した。

  米政府はヒトの胚を破壊または創造する研究には資金を提供していない。英政府の直轄機関であるヒト受精・胚機構は今月、研究グループにヒトの胚でのCRISPR研究を行うことを認めたが、研究は倫理委員会の承認を受ける必要がある。
  中国のCRISPR研究資金の大部分は政府によるもので、民間企業は遺伝子操作分野にはほとんど資金を投入していない。「動物であれ植物であれ、わが国にはこの分野の研究のための特別な資金がある」と華南乾細胞再生医学研究所のライ・リアンシュエ氏は説明した。

  中国国家自然科学基金委員会は昨年、CRISPRに関する少なくとも42の研究プロジェクトに2300万元(約4億円)余りを提供した。これは前年の倍以上の規模となる。

原題:China Builds a Faster Beagle in Gene-Editing Race With U.S. (1)(抜粋)

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