ストックピッカーの時代再来-米ブラックロックで9.5兆円の運用者

  • 850億ドルを運用するチャンビー氏:現金減らし株式の買いを再開
  • 中央銀行が市場に及ぼす影響力失う、バリュー投資には好機

資産運用会社、米ブラックロックで850億ドル(約9兆4600億円)を運用するダン・チャンビー氏は、中央銀行が市場に影響を及ぼす能力を失ったことで、昔ながらのやり方で株式投資ができるようになったと述べた。

  昨年末の時点でポートフォリオの21%を現金で保有していたチャンビー氏は、株式の買いを再開した。トレーダーらはこれまで中央銀行による長年の景気刺激で感覚がまひしていたが、リスク判断のやり方を学び直すのに伴い、株式市場が揺れるのは当然だとチャンビー氏。金融当局の次の一手に気をもむのではなく、経済データを精査し割安な銘柄を探しているという。他の投資家やブラックロック内の同僚の意見に逆らうように、同氏は原油価格が持ち直すと踏んでいる。

  チャンビー氏は「もっとファンダメンタル中心に焦点を絞るようにならなくてはならない」と発言。ストックピッカーとしての「腕の見せ所になってきた」とニュージャージー州プリンストンから電話インタビューで話した。

  2008年の金融危機以降、バリュー投資家の出番は長らく限られていた。利益や資産に対して株価が大きく割安な銘柄を見つけ出すスタイルは、中央銀行による前例のない規模での資産購入で株価全般が押し上げられる環境に適合しなかった。この状況も変わりつつある兆候がある。米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げに踏み切り、日本銀行と欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利導入は株売りを止められなかった。企業のバリュエーション一つをとってみても、類似性を強めていたここ数年の傾向と異なり、乖離(かいり)が始まっている。

  「分散傾向が強まっている。プライシングは良くなった」とチャンビー氏は述べた。

  チャンビー氏の運用総額は1月末の時点で850億ドルという。昨年4月の1000億ドルを下回る。ブルームバーグがまとめたデータによると、同氏が運用監督に携わるブラックロック・グローバル・アロケーション・ファンド(455億ドル)は今年に入り5.1%のマイナス。同種ファンドとの比較では下から36%に位置する。過去5年間の成績は年率2.9%のプラスで、同種ファンドとの比較で下から60%。ブラックロックによると、同ファンドは1989年の設定以降、年平均10%のリターンを実現している。

  1月末時点での資産配分は59%が株式で、24%が債券。現金は16%に減らした。株式投資のトップ銘柄はアップルとアルファベット、ウーバー・テクノロジーズ。チャンビー氏はエネルギーとヘルスケア、テクノロジーの株式を買っていると述べたが、銘柄は特定しなかった。

  日本株に対するチャンビー氏の見方は強気だが、日本株相場が2011年3月の東日本大震災以降で最大のボラティリティを記録した後、同氏は日本株への投資配分をベンチマークの3倍から2倍に引き下げた。富士通のリサーチアナリストとして働いた経歴のある同氏は、流ちょうな日本語を話す。同氏のファンドは低ボラティリティと競争力のあるリターンを提供することを目指していると述べた。

原題:BlackRock $85 Billion Manager Says Stock Pickers’ Time Has Come(抜粋)

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