上海G20で通貨安競争の代替手段模索へ-金融政策の限界近づく

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  • 中国や日本、欧州が緩和する一方で中南米諸国は引き締め
  • マイナス金利導入は中銀の課題を複雑に

上海で26、27両日開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で各国当局者は、通貨安競争を避けながら、方向性の異なる金融政策と財政支出拡大要求の調和を図る必要がある。

  G20では通常、通貨安競争を回避する必要性で一致することが多いが、景気減速への対応に苦しむ中国が新たな通貨切り下げに踏み切るリスクがある状況だけに、今回のG20では特にこの目標達成が重要になる。

  さらにリスクを高めているのは、世界の国内総生産(GDP)の約4分の1を占める日本とユーロ圏が導入したマイナス金利だ。これは以前よりも金融政策にディスインフレ圧力への対応余地が少ないことを意味するもので、財政出動による大きな活力が求められている。ただ実現は難しいとみられる。

  ノルデア・マーケッツのチーフアナリスト、マルティン・インランド氏は「少なくとも西側諸国の中央銀行は金融政策がある種の限界に接近している状況を踏まえ、G20での世界的な協調の深まりを求める人は多い」と指摘。中国が成長支援戦略をより明確にすることが「他の国々に大いに役立つだろう」と付け加えた。

コミュニケーションの改善

  中国人民銀行が昨年8月に予想外の人民元切り下げを実施して以来、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事やルー米財務長官らはコミュニケーションの改善を求めてきた。

  こうした呼び掛けに中国は応じる姿勢を見せている。中国中銀の周小川総裁は数カ月に及ぶ沈黙を破って最近インタビューに応じ、元を一段と下落させなければならない理由はほとんどないと発言した。総裁は26日に講演する予定で、その後、G20会議に合わせて記者会見を開く。

  米連邦準備制度は昨年12月に約10年ぶりの利上げを実施したが、世界の市場の荒っぽい動きを受けて追加利上げの判断は複雑になっている。

  スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のチーフ・グローバルエコノミスト、ポール・シェアード氏は「中銀が協調しているように見えても実際は、いずれ実行しなければならないことをやっているにすぎず、弱い協調と呼べる」と指摘。「『あなたが利下げしない限り私も利下げしない』というのは、はるかに異例であり遂行困難だ」と話す。

財政支出のハードル

  中国や日本、ユーロ圏の中銀は金融緩和を実施し、追加の刺激策も検討している。一方で中南米の資源輸出国は引き締めを余儀なくされており、メキシコとコロンビア、ペルーはドル高による自国通貨安を受けて今月、政策金利を引き上げた。先進国による輸出促進を目指した金融政策をマンテガ前財務相が「通貨戦争」という言葉で表現したブラジルでは、リセッション(景気後退)局面にあるものの、政策金利は約10年ぶりの高水準に据え置かれている。

  先進国の中銀は思い通りにできるなら、上海G20を利用して世界の成長維持の責任を政治家に断固負わせようとするところだが、口で言うほどたやすくはない。中国は債務増加の加速には後ろ向きであり、米国は2015年後半に2年間の財政計画で合意したばかり。ドイツは年内の財政均衡を目標とするが難民危機対応コストで達成は危ぶまれている。

  スタンダード・バンクのG10戦略責任者スティーブン・バロー氏は「財政主導の需要刺激と構造改革を組み合わせて世界経済を再起動する必要がある」と指摘。ただ、多くの国で財政支出拡大による支援が見込みにくく「金融市場はリスクにさらされ、金融政策に過大な負担がかかるだろう」と語った。
  

原題:G-20 Central Bankers in China Seek Alternatives to Currency War(抜粋)

(5段落以降を追加して更新します.)
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