マイナス金利も急上昇リスクに備え走れ、円債から株に-CLSA

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  • 「日銀の覚悟は過小評価しない方がいい」とブラックロックの浜田氏
  • 筒井生保協会長:物価逆戻りさせない日銀の強いコミット感じる

「もしあなたがファンドマネージャーで、資産の大部分を債券で保有し株をほとんど保有していない場合は、歩かずに走れ」ーー。CLSAの日本担当ストラテジスト、ニコラス・スミス氏は、日本銀行によるマイナス金利政策下の債券利回りはいずれ急上昇(価格は急落)する恐れがあるとして、債券を売って株式に移行する必要があると話す。

  スミス氏は「国債は安全資産、株式は危険」という定説に反して、「債券利回りがゼロを下回ったら、利回り上昇に伴う価格下落に備えヘルメットをかぶった方がいい」と注意を促す。かつて国債利回りが5~6%あった時代は「7割を債券、3割を株式に当てていれば、元本を心配することなく運用ができた」と、ブラックロック・ジャパンリテール営業部門長の浜田直之マネージングディレクターも振り返る。

  日銀のマイナス金利政策を受け、24日の国債市場では午後5時過ぎ時点で年限10年以下ですべてマイナス金利となった。日銀の買い入れと政府の発行減で国債は品薄感があるため、金利上昇(価格下落)の兆しは見えないが、生命保険協会の筒井義信会長は、日銀の姿勢について「物価上昇のトレンドを逆戻りさせないという非常に強いコミットを感じさせる」との見方を示す。黒田東彦総裁は3日の講演で、「できることは何でもやる」と述べ、2%の物価目標の実現に強い意欲を示していた。

  消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は最新の昨年12月時点で前年同月比0.1%上昇にとどまっているが、ブラックロックの浜田氏は、「日銀の覚悟というのを過小評価しない方がいいかもしれない」と指摘。消費者物価が目標に近づいて来るなどと「インフレ率が新聞をにぎわすようになると、投資家の行動が変わる可能性がある」とみている。

  黒田総裁は24日の衆院財務金融委員会で、10年物国債利回りが1%上昇した場合、日銀が保有する国債の時価は21兆円減少するとの見方を明らかにした。原口一博氏(民主)への答弁。

国債での運用は困難

  運用資産の42%を日本国債が占める国内生保は、金利低下が長引けば保険契約者に約束した利回りの確保が難しく、逆ざやが発生する可能性が大きくなっている。生保協の筒井会長は「日本国債中心の運用は困難」と外国債券や社債、インフラ関連や成長分野への投資など、さらなる投資分散が必要と言う。

  2015年11月に上場したかんぽ生命保険は、同年12月末時点で総資産82兆7000億円のうち国債が55%を占め、地方債と社債を合わせると約74%が国内債券。同社は3カ年の中期経営計画で、運用の多様化に向け内外株式や外債などリスク性資産の比率を同年12月の6.4%から、18年3月期までに10%に高める方針だ。

タンス預金

  超低金利下で資産運用に悩んでいるのは、プロの機関投資家だけでなく、個人も同じだ。日銀が公表している15年9月末の資金循環統計(速報)では、個人金融資産のうち債券が前年同月末に比べて11.3%減の25兆円、株式・出資金は0.2%減の163兆円に対し、現金・預金は887兆円と1.9%増加し、全体の53%を占めた。

  国内2位の資産運用会社、DIAMアセットマネジメントの西惠正社長は、マイナス金利の導入が成功して日本経済がデフレから脱却し2%のインフレに向かって行く場合は、「預金者は預金から、よりリスク性のある運用へシフトしていかないといけないことがより明確になる」と述べた。

  浜田氏は、デフレの時代はタンス預金しておけば「物価が下がりデフレ率という利息がついていたと考えることもできる」と話すが、仮にインフレ時代に突入したら、タンス預金は「インフレ率という管理コスト」を払うことになると言う。「お金にもコストがかかることを絶対忘れてはいけない」。

(第5段落を追加し、更新しました.)
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