ブラックロックは日本株に強気、海外勢売りと一線画す-春闘が鍵

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4.6兆ドル(約524兆円)を運用する世界最大の資産運用会社、ブラックロックは日本株に対する強気の姿勢を崩していない。割安感や海外と比較した企業業績の堅調、日本銀行の金融緩和姿勢を依然評価しているためで、主要国の中でも目立つ年初来の下げを主導した他の海外投資家とは一線を画す。

  チーフ・インベストメント・ストラテジストのラス・ケステリッチ氏(サンフランシスコ在勤)は、ブルームバーグの取材に文書で回答し、日本株に対する判断は「オーバーウエート」と説明。バリュエーション面で依然として相対的に魅力があり、企業業績を支えるアグレッシブな金融緩和の継続なども理由に挙げた。

  2016年のTOPIXは大発会から6日続落と、年始からの連続安としては東京証券取引所の戦後再開以来で最長を記録。その後も下値を切り下げ、2月12日には14年10月以来、およそ1年4カ月ぶりに1200ポイントを割り込んだ。19日時点の年初来下落率は17%と、世界93の主要株価指数の中ではギリシャ、イタリア、中国上海に次ぐワースト上位国だ。一方、東証の投資部門別売買動向によると、海外投資家はことしに入り2月2週までに日本株現物を6週連続で売り越し、累計売越額は2兆2400億円と最大の売り主体となっている。

  ケステリッチ氏は日本株の下げが大きくなった要因について、欧州株に次いでこれまで買われていた反動に加え、「銀行株が売られたことや円高が背景にある」と分析。日本銀行のマイナス金利が「銀行システムに対する税のように受け取られ、良い押し上げとはならなかった」との認識も示した。

  しかし同氏は、バリュエーション面やコーポレートガバナンス(企業統治)の変化から株主資本利益率(ROE)が継続して上昇傾向にある点を評価。また、日銀がこれまでの大規模な量的緩和策のほか、市場がサプライズを持って受け止めたマイナス金利を導入したことは「短期的に円が上がらないように封じ込め、輸出企業の業績に対する救命袋となっている。他の先進国に比べて日本の業績は良い方」と指摘した。投資対象は、「内需関連や独自のビジネスモデルを持つ企業が好みだ」としている。

  もっとも、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが緩やかになる可能性や原油価格の長期下落で世界の金融市場がパニックに陥り、円は安全通貨とみられている中、「日銀がどれだけ円安にしておくことができるかが問題だ」とも言及。日本のリフレ戦略が効果を上げるには金融緩和だけでは足りず、民間企業の賃上げこそが輸入物価の上昇を打ち消し、内需をサポートするとみている。ケステリッチ氏は、ことしの春闘は重要なシグナルとの認識を示した。

  22日の日本株は、前週末の海外為替市場での円高推移、国際原油市況の下落が嫌気され、TOPIXは朝方に一時1%以上下げたが、その後は内需セクター中心に見直しの買いがが入り、1%以上反発する場面がみられた。

(文末にきょうの日本株動向を追記します.)
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