米アップルの捜査協力拒否で米議会に打開努力求める動き強まる

  • アップルはサンバーナディーノでのテロ事件でFBIへの協力拒否
  • マンハッタン地検とニューヨーク市警のトップ、議会に行動呼び掛け

アップルがテロ容疑者の「iPhone(アイフォーン)」を調査する米連邦捜査局(FBI)への協力を拒否したことを受け、暗号化通信におけるプライバシー保護と法執行の必要性のバランスを取ることを議会に求める圧力が一段と強まった。

  トム・コットン上院議員(共和、アーカンソー州)はアップルの反応について、「譲歩に後ろ向きな姿勢だ。法律の制定がこの問題を解決する唯一の方法である可能性」を意味していると指摘した。

  FBIが解析に取り組んでいるのは、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノで14人が殺害された銃乱射事件の実行犯とされるサイド・ファルーク容疑者が警察に射殺される前に使っていたアイフォーンの個人情報。米連邦地裁は16日、FBIによるアイフォーン解析を支援するようアップルに命じた。FBIは同容疑者と妻が居た場所や犯行に協力した人物を突き止めたい考えだが、アップルは協力を拒んでいる。

  下院情報委員会の民主党トップ、アダム・シフ議員(カリフォルニア州)は「これらの複雑な問題は裁判所だけでなく、最終的には議会と政府、業界による解決が必要になろう」と述べた。

  議会では暗号化通信をめぐる長年の行き詰まりを解消するため、2つの大きな法律的取り組みが具体化している。下院国土安全保障委員会のマッコール委員長(共和、テキサス州)とマーク・ワーナー上院議員(民主、バージニア州)は、この問題を検討し勧告を行う連邦委員会を創設する法案を提出する計画。これとは別に、上院情報委員会の共和・民主両党トップは企業に司法当局への協力を強制する法案を検討している。

  ニューヨーク・マンハッタン地検のバンス首席検事とニューヨーク市警のブラットン本部長も議会に対し、当局が暗号データを解読できるよう議会に行動を呼び掛けた。ブラットン本部長は18日の記者会見で、「より重要な判決と法律がいずれ必要になることは間違いない」と述べた。

  アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、FBIがファルーク容疑者のアイフォーンだけをロック解除するソフトウエアを提供するよう求めているが、そうしたソフトウエアは存在しないと説明。これを開発すれば基本的に「裏口」をつくることになり、外国の政府や犯罪者、ハッカーに利用されかねず、他の多くのアイフォーンに不正侵入される恐れがあると警告している。

  上院情報委員会に所属するロン・ワイデン議員(民主、オレゴン州)は、政府の試みは「危険な前例」をつくり「米テクノロジー企業に対し、意思に反するハッキング手段を政府のために実際に構築するよう強制することになりかねない」と指摘。「さらに、FBIによる今回の動きは世界中に拡大する恐れがある。米政府は裏口づくりを米企業に強要する見本をロシアや中国の抑圧的な政権に示したいのだろうか」との懸念を表明した。

原題:Apple’s Refusal Puts Pressure on Congress to Break Impasse (1)(抜粋)

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