かんぽ社長:マイナス金利で外債積み増しへ、円高でヘッジ運用増も

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  • 株や外債などのリスク性資産、18年3月期までに10%に-現行6.4%
  • 配当性向「50%にこだわらずに」、資本確保、契約者とのバランスで

日本銀行のマイナス金利政策で債券利回りが一段と低下する中、かんぽ生命保険の石井雅実社長は、リスク性資産積み増しの一環として、外債投資の割合を増やす考えを明らかにした。現時点では為替リスクをヘッジした運用と、ヘッジしないオープン運用が拮抗(きっこう)しているが、足元の為替相場は円高基調にあるため、ヘッジ運用を増やすか検討する。

  石井社長は17日、ブルームバーグとのインタビューで、マイナス金利政策の影響について今年度は限定的としているが、「中長期的に金利は全体的に下がるので、運用のやり方を少し変えていく必要がある」との考えを示した。リスク性資産の積み増しについては、株式よりも「おそらく外債の方がウエートが高くなる」と言う。

  日銀が1月29日、当座預金の一部にマイナス金利適用を決定したのを受け、国債市場では9日、年限10年以下ですべてマイナス金利となったほか、17日の短期金融市場で無担保コール翌日物がマイナス金利で取引された。一方、外国為替市場では、日銀決定を受けて1ドル=121円台まで円安が進んだ後は、米景気への警戒感から円高基調に転じ、18日は113~114円台で推移した。

  同社は3カ年の中期経営計画で、運用の多様化に向け内外株式や外債などリスク性資産の比率を15年12月の6.4%から、18年3月期までに10%に高める方針。外債については、円高になると目減りのリスクがあるため、「これからはヘッジを見ながらしていくことになるので、ヘッジコストの兼ね合いでバランスを取る」として、ヘッジ付き外債の割合を増やすかどうか検討する考えを示した。

  15年12月末時点では、同社の総資産82兆7000億円のうち国債が55%を占め、地方債と社債を合わせると約74%が国内債券。生保の資産運用は、資産と負債のデュレーションマッチングが基本。同社長は「リスク管理をしっかりした上で、出てくるバッファーの中でどういうパフォーマンスを取るか」考え、新規資金と償還資金をリスク性資産を中心に振り向けるという。

配当政策

  配当政策については、中期経営計画では配当性向30~50%程度を目安としているが、「利益も見込めて契約者との配当のバランスも取れるなら、50%にこだわらない」と述べ、この目安を上回る配当の可能性を示した。今期は1株あたり56円の見込みで配当性向は40%程度。

  12年3月期には3900万件あった保有契約は15年3月期には3350万件に低下しており、同社は17年度以降に保有契約の底打ち・反転を目指している。石井社長は、保有契約減少はキャッシュレス化で顧客との接点が減少したことが要因とし、「反転は十分に可能」とみる。具体策として渉外社員のコンサルティング能力を向上させ、3年弱で契約者を全戸訪問する予定。満期契約を再契約につなげたり、学資保険や提携先のアフラックのがん保険で若年層へアクセスする。

  また、今後は団塊の世代が70ー75歳以上となる25年までは同社が得意とする「簡易、簡便、家庭市場、高齢者向けというモデルは非常に強い」とみて、高齢者向けのサービスを展開する予定だ。そのほか、マーケットシェア83%の養老保険や終身保険で、医療特約の付帯比率を現行の78%から80%に向上させることで、低金利環境下でも「十分に収益性を維持しながら伸ばしていけると確信を持っている」と述べた。

加入限度額

   かんぽ生命では加入後4年間、無事故で経過した契約については、加入(保険金支払い)限度額を1300万円まで引き上げられるが、4月からは2000万円まで可能になる予定だ。石井社長は顧客ニーズに応えるためには、基本的には「限度額はないほうが良い」との考えだが、限度額の引き上げや撤廃を強く求めている訳ではないという。
          
  今後、限度額が仮に撤廃になった場合でも「医療審査体制のない中で、高額の保険契約に踏み込んでいくかということは、経営者として普通、やれない」と述べ、従来からの簡易・小口のビジネスモデルを維持し、商品の高度化を追及していく方針を示した。

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