米アップル:テロ容疑者使用のiPhone、暗号解除要求を拒否

更新日時
  • クックCEOが書簡、「危険な前例をつくる」と懸念
  • FBIに協力するよう加州連邦地裁がアップルに命令

アップルは、カリフォルニア州で起きたテロ事件で容疑者の使用したiPhone(アイフォーン)のセキュリティー解除について、司法省に協力するのは危険な前例をつくることになるとして、協力を命じた裁判所の命令に従わない意向を表明した。

  アップルは米連邦捜査局(FBI)から、次の基本ソフト(OS)にはセキュリティー機能を迂回(うかい)するための「バックドア(裏口)」を設けるよう求められていると、ティム・クック最高経営責任者(CEO)が書簡で説明。書簡はアップルのウェブサイトに掲載された。

  クックCEOは裁判所命令を市民の自由に対する「身も凍るような」攻撃だと指摘。最終的には「個人のメッセージの傍受や健康記録・財務データへのアクセス、居場所の追跡、さらにはアイフォーンのマイクやカメラへの無断アクセスを可能にする監視ソフトの作成」を政府がアップルに要求することにつながりかねないと警告した。

  2015年12月2日にカリフォルニア州サンバーナディーノで14人が殺害された銃乱射事件について、連邦捜査当局はまだ、実行犯とされるサイド・ファルーク容疑者が使ったアイフォーンの暗号解除ができていない。米政府が加州リバーサイドの連邦地裁に提出した文書で明らかになった。同裁判所のシェリ・ピム判事は16日にアップルに対し、アイフォーン内の情報解読で「妥当な技術的支援」をFBIに提供するよう命じた。

  「FBIの意図が妥当なものであることに疑いの余地はないが、弊社製品に裏口を設けるよう政府が強制するのは間違っている」とクック氏は書簡で指摘した上で、「この要求が米国政府が保護するべき自由と権利そのものの侵害に最終的につながりかねないとわれわれは懸念する」と論じた。

  裁判所命令へのアップルの強い反発は、テクノロジー関連企業が政府によるテロとの闘いにどこまで協力すべきかをめぐる論争に拍車を掛けるもので、大統領選の争点の一つにも浮上した。共和党の候補指名を目指すドナルド・トランプ氏はテレビ番組「フォックス・アンド・フレンズ」で、「裁判所命令に100%」賛成だと述べ、アップルは「一体何様のつもりだ。アップルは(セキュリティーを)解除する必要がある」と語った。

  クックCEOのコメントを受けて司法省は発表文で、「米国内での重大なテロ事件に関与したテロリストの1人が所有していたアイフォーンへのアクセスを求める司法省への支援を、アップルが拒否し続けているのは遺憾だ」とコメント。「本件に関する判事の命令と当局の要求はアップルに製品の再設計や暗号化機能の無効化、このアイフォーン上のコンテンツの開示を求めるものではない」と指摘した。  

原題:Apple Refuses to Unlock Shooter’s IPhone in Privacy Clash (2)(抜粋)

(トランプ氏や司法省の見解を追加して更新します.)
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