イエレン議長:データに目を凝らす日々-市場予想は当局から乖離

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  • 米金融当局者は政策決定がデータ次第であることを繰り返してきた
  • このところの金融市場の動揺が当局の行動を制約も

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は先週の議会公聴会で、米経済には金融政策の緩やかな引き締めに耐えられるだけの十分な力強さがあると証言した。

  議長は3月15、16両日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)までの今後4週間、このところの金融市場の混乱が、想定してきた利上げの道筋にどのような障害をもたらすことになるか、目を凝らすことになる。

イエレンFRB議長

Photographer: Pete Marovich/Bloomberg *** Local Caption *** Janet Yellen

  雇用統計で米経済が完全雇用状態にあることが示唆され、インフレ率は中期的に2%に戻ると見込まれる中で、データ次第の政策決定を掲げる金融当局者が来月のFOMCで実際にどう行動するかが試される。

  それというのも、米金融当局が昨年12月にほぼ10年ぶりの利上げに踏み切って以降、イエレン議長をはじめとする当局者は、将来の引き締めペースは経済見通しをめぐる新たなデータに左右されると強調してきたからだ。

拙速な判断は回避へ

  一連の経済指標は追加利上げの論拠を損なうことはないが、金融状況の引き締まりと、不透明な世界経済の見通しを反映した市場のボラティリティ(変動性)の高まりが、イエレン議長ら当局者の行動を制約する恐れもある。

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロバート・ペルリ氏は、「労働市場でも、コアインフレ率でさえも、厳密にデータだけを見れば、米金融当局は3月に利上げするとことになるが、それだけではない」と指摘する。

  ペルリ氏はその上で、金融状況は見通しに暗い影を落としかねず、利上げ「先送りの地点にわれわれはある。市場が全般に安定化して前向きなデータ発表が続けば、金融当局は4月ないし6月に前進することができる」との考えを示した。

  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「現時点では、金融市場の不透明な情勢が恐らく他に優先する。動揺は続いており、金融当局は分析にはもっと時間がかかると説明する公算が大きい」と語った。

  イエレン議長は、最近の逆風に米経済がどう反応するか見極めるため追加の引き締めを先送りする可能性を示唆したが、「経済の先行きについて時期尚早な結論に飛躍することがないよう注意したい」と述べ、判断を差し控える姿勢もにじませた。

  フェデラルファンド(FF)金利先物相場は、3月のFOMCで利上げよりも利下げの可能性の方が大きいと投資家が考えていることを示唆。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した今月の調査では、米国が向こう1年間にリセッション(景気後退)入りする確率(中央値)が20%と、2013年初め以来の高水準となった。

  TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏(ニューヨーク在勤)は、「米金融当局は市場の想定に不満を抱いており、イエレン議長が警告を発した形だ」とした上で、「議長のメッセージは『当局も市場と同様にデータを注視しており、われわれの見方はまだ定まっていない。3月の利上げの確率は極めて低いが、同月も含めて16年中の利上げを断念していない』というものだ」と解説した。

原題:Yellen Heads for March Crossroads as Market Urges Policy Detour(抜粋)

(第10、11段落とチャート、写真を追加して更新します.)
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