戦場でテロリスト追跡の元スパイ、銀行に転職-トレーダーの不正調査

  • バークレイズやUBSなど、調査を強化-当局への支払い回避へ
  • 戦場で磨いたスキル、トレーディングフロアの調査で生かす

ブライアン・リンネハン氏は2年余りにわたり米軍情報官としてイラク周辺で危険人物を追跡していた。昨年5月からは戦場で磨いたスキルを生かし、英バークレイズ社内の電子通信を監視している。

  規制違反に関連したコストの抑制に必死の投資銀行は、従業員の勤務状況のあらゆる側面について精査するため、リンネハン氏のように情報機関での勤務経験がある専門家を採用している。喫煙休憩の長さや、どのウェブサイトを頻繁に閲覧していたかなどが調査対象だ。その目的は、トレーダーによる新たな市場操作や不正行為を抑止することにある。

  「馬が逃げてしまった後、納屋の扉を閉めてもあまり役には立たない。何らかのトラブルに発展する前に、どんな潜在的な問題も特定することができるようにしたい」。バークレイズのニューヨークオフィスに勤務するリンネハン氏(37)は、ロッキー山脈で開かれた州兵演習の休憩時間にインタビューに応じてこう語った。

  この記事のためにインタビューした人材仲介業者や銀行幹部、コンプライアンス担当者十数人によれば、テロリスト追跡や組織犯罪取り締まりの経験がより豊富な元情報官ほどウォール街のトレーダーらを監視する高報酬の第2のキャリアを見つけやすいという。元情報官たちが国を守るために習得した声や文章、電子メールなどのコミュニケーションを分析する方法は、トレーダーの不正行為の監視役として銀行に勤務するようになっても健在だ。そのため、元スパイたちにとって銀行への転職は自然な選択であるし、銀行に勤務すれば報酬が少なくとも2倍に跳ね上がることが期待できる。

  バークレイズの内部告発・調査担当グローバル責任者、ベン・ベアー氏(ロンドン在勤)は「軍の情報官たちはコミュニケーションや行動のデータの断片を収集・分析して、次なるテロ攻撃といったわれわれが日頃対処しているよりもはるかに恐ろしい事態を予測する。調査を次なるレベルに進めるにはそれが必要だ」と述べた。

  銀行幹部や人材仲介業者によれば、ドイツ銀行やHSBCホールディングス、JPモルガン・チェースなどの企業が過去1年半に米軍、英軍、米中央情報局(CIA)、英政府通信本部(GCHQ)から数十人の元情報官を採用している。銀行の担当者らはコメントを控えた。

  コンサルタント会社クリスメイサーズ(トロント)を運営するクリス・メイサーズ氏は「現在、銀行にとって最大の脅威、絶対的な脅威は規制当局だ」と指摘した。

原題:Spies Who Chased Terrorists Join Banks to Hunt for Rogue Traders(抜粋)

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