日本株ボラティリティ、2011年震災時来の揺れ-急騰後も消えない懐疑

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日本株相場が荒れている。世界的な景気の減速リスクや為替の急激な円高、一部欧州金融機関の信用不安などが直撃し、わずか3営業日で日経平均株価は2000円以上急落したと思いきや、たった1日で1000円以上戻した。変動率の大きさを示す主要株価指数のボラティリティは、東日本大震災が起きた2011年3月以来の高水準に達し、投資家の間で安心と不安が交錯する。

  日経平均とTOPIXのヒストリカル・ボラティリティ(HV、10日平均)は16日午前に60.81、66.45に上昇、ともに11年3月28日に記録した77.86、73.86以来の高水準となっている。ブルームバーグ・データによると、TOPIXの30日HVでは48.6と世界の中でイタリア、アルゼンチンを抑えトップだ。

  15日の取引では、前週末に公表された米国消費統計の堅調や欧州の銀行株上昇、円高一服、国際原油市況の大幅高を受けグローバル投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、幅広い業種で買い戻しの動きが活発化。日経平均は昨年9月9日以来、上げ幅が1000円を超え、TOPIXの上げ幅はリーマン・ショック直後の08年10月以来の大きさを記録した。財務懸念が浮上していたドイツ銀行は12日、ユーロ建てとドル建て債の買い戻し計画を発表。ドル・円は1ドル=114円台まで円安方向に戻した。11日には110円99銭と14年10月以来のドル安・円高水準を付けた。

  CLSAの日本担当ストラテジスト、ニコラス・スミス氏は「市場はパニック売りを受けてきたが、ついに目を覚ました。パニックは止まりつつある」と指摘。15日の急騰はショート(売り)ポジションの巻き戻しが中心と分析しているが、「投資家はバリュエーションをみており、現状は明らかにおかしい。市場が底を付けたとは思わないが、バリュエーションから判断すると今後6-12カ月で高値を目指す好機」と受け止める。

  東証1部の予想株価収益率(PER)は13.69倍と、12年11月以来の水準にまで低下。ブルームバーグ・データによれば、米S&P500種株価指数の15.5倍、ストックス欧州600指数の14.2倍を下回っている。

  記録的な日本株の急騰は、足元で低調な国内経済をサポートとする政策発動への期待感も後押しした。15日朝に発表された昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率1.4%減と2期ぶりのマイナス成長となり、市場予想の0.8%減より悪かった。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「株価・為替の変調、世界経済の先行きに下振れリスクが増していることを考えると、再び消費増税が先送りされる可能性も十分考えられる」と指摘。さらに、日本銀行は6月にも「再度付利を20ベーシスポイント引き下げる」と予想する。

  UBS証券では、このまま円高基調が止まらない場合、財務省と日銀による為替介入の可能性が高まっているとみており、26ー27日に上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の行方に注目する考えを示した。

  ただし、このまま日本株が急速に反転上昇していく可能性については懐疑的な見方も依然として多い。りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは、15日の急騰に対し「恐怖感さえ覚える。動きだしたら際限なく上がり、下がる時も際限なく下がってしまう。これでよし買いだ、という受け止め方はなかなかされない」と言う。UBS証の大川智宏エクイティ・ストラテジストも、「日本の要因で動いているのではなく、今の市場のリスクは米利上げの延期とドイツ。マクロの善しあしで乱高下する」との認識だ。

  プリンシパル・グローバル・インベスターズのファンドマネジャー、ビナイ・チャンゴシア氏(香港在勤)は「昨年末にかけ、ポートフォリオの中でリスク資産をいくらか減らした。現時点ではそのポジションを維持している。われわれは長期で資産を運用しており、こういう時期には短期のリターンを期待されている投資家よりも少し仕事がしやすい」と話す。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長も、「あすは何が起こるか分からない。割安だと思う株に投資し、長期目線を持つのは変わらない」と乱高下する相場に惑わされないよう努めている。 

(2段落の数値を最新に更新します.)
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