ヘッジファンドの売りにひるむな、長期投資家には千載一遇のチャンス

  • イートン・バンスは11日、投資銀行の株式を買っていた
  • 売りを主導しているのは「考える前に行動する」ヘッジファンド

投資家が2011年以来の速さでリスクテークから身を引いた先週の金融市場の混乱の陰で、長期投資の視点を持つファンドマネジャーらが語る言葉は、英政府の戦時中のスローガンと同じだ。「平静を保ち、普段の生活を続けよ」。

  世界の株式市場から8兆ドル(約907兆円)余りを吹き飛ばした大量売りでパニックに陥らず、「感情的に決定を下すのを避けよ」と助言するのは、7660億ドル相当を運用するアメリプライズ・ファイナンシャルのチーフマーケットストラテジスト、デービッド・ジョイ氏だ。攻めの姿勢に出るべきだという同氏の議論はこうだ。「時間をかけて増やせる資金があって辛抱強くなれるのなら、そうした投資を始めるべき時だと思う」。

  悲観が悲観を呼び、投機が主導する短期的な動きに翻弄(ほんろう)される市場の中で、長期的投資家らはしっかり踏みとどまっている。ジョイ氏もそうだが、他のファンドマネジャーらもボラティリティが割安銘柄を生み出していると指摘する。

  例えば11日午前、イートン・バンスは投資銀行や消費財メーカーの株式を買っていたと、同社で最高株式投資責任者を務めるエディー・パーキン氏は明かす。「すくんでしまいそうになる気持ちに負けてはならない」と同氏は戒め、「必要なのは、企業について深く分析することで導いた独自の判断、そして他人のパニックに飲まれずに行動する勇気と確信だ」と語った。

  また、ロバート・W・ベアードのチーフ・ポートフォリオストラテジスト、ブライアン・ラウシャー氏によれば、パニックのせいであれポジションが理由であれ、ボラティリティの大半はヘッジファンドが引き起こしている。「このところの売りは明らかに、長期投資家によるものではない」とし、「市場を動かしているのはヘッジファンドだ。相場を押し上げたかと思うと次の日は押し下げている。彼らは考える前に行動する」と話した。

  実際、ヘッジファンドによる保有比率の高い銘柄が先週は最も売られていたことをブルームバーグのデータは示す。米ラッセル3000指数の構成銘柄でそのような銘柄600社の株価は週初からニューヨーク時間12日午前9時41分までに平均6.1%下落。逆にヘッジファンドの保有比率が低い銘柄では同3.3%値下がりだった。

  世界の株式市場は11日に弱気相場入りし、MSCIオールカントリー世界指数は2015年5月の過去最高値からの下げ幅が20%を超えた。しかしこれは、短期の市場参加者が長期投資家にチャンスをつかむ扉を開けてくれたとも言える。

  BNYメロン・ウェルス・マネジメントで最高投資責任者を務め顧客資産1840億ドル以上の運用に携わるレオ・グロホウスキー最高投資責任者は「数四半期や数年の時間を見据える投資家にとって、現在は撤退ではなく参入ポイントになると思う」と話した。

原題:Making the Case to Buy Amid a Market Soaked in Hedge Fund Dread(抜粋)

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