【今週の債券】長期金利上昇か、政策対応やマイナス金利開始に警戒感

  • 長期金利の予想レンジは0.00%~0.15%、ボラティリティ高いとの声
  • 当局の政策対応が意識され弱い展開か-JPモルガンAM

今週の債券市場では長期金利が上昇すると予想されている。政府や日本銀行が最近の株安・円高に対して政策対応に動くとの観測に加えて、16日から日銀当座預金の一部にマイナス金利が適用されることへの警戒感から売りが出やすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体で0.00%から0.15%となった。前週は9日に初のマイナス圏に突入し、一時はマイナス0.035%を付け、過去最低を更新した。しかし、12日には反動の売りなどで、0.08%と約1週間ぶり水準まで上昇した。

  BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、今週の債券相場について、「政府や日銀のアクションに対する不透明感があるほか、16日からのマイナス金利導入もあり、水準観を探り、ボラティリティが高い状況が続くとみられる」との見方を示した。「10年金利は0.05%から0.10%のレンジのどこかで落ち着きどころを探るのではないか」と予想する。

  前週の株式相場は大幅に下げ、日経平均株価は1万5000円を割り込んで引けた。外国為替市場では、円が一時110円台と2014年10月末以来のドル高・円安水準を付ける場面があった。日銀の黒田東彦総裁は12日昼、急速な円高や株安が進んでいることについて、「引き続き為替市場の動向を緊張感を持って注視していくと同時に、必要に応じて適切に対応していく」と発言した。ただ、為替介入の可能性については「コメントしない」と述べた。

  16日から日銀当座預金の一部にマイナス金利が適用される。前週末の短期金融市場では、16日受け渡しのレポは0.01~0.02%で取引された。

   野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「相場が乱高下した底流には、マイナス政策金利を適用した金融取引がまだ始まっていないことや、適正な価格を決めるに十分な国債供給がなされていない中で、ディーラーのポジション維持のための国債購入が市場をゆがめ、適正価格すら分からないことがあった」と指摘。「マイナス政策金利の適用が始まり、国債レポ市場や短期金融市場でそれを前提とした取引へ移行する。ここから10年債入札までをめどに、市場は新しい政策金利下でのイールドカーブの居所を見つけるだろう」と言う。

   SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「16日からのマイナス金利適用開始が何よりも注目される。短期金利がどのようなバランスで動き始めるのか、あるいは市場流動性自体がしばらく完全に枯渇した状況が続き、日銀が何らかの働きかけをすることになるのか、1週間程度の動きを注視する必要がある」と指摘した。

20年債入札と5年債入札

  財務省は16日午前、20年利付国債の価格競争入札を実施する。前回入札された155回債のリオープン発行となり、表面利率は1.0%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回債と同額の1兆2000億円程度となる。

  18日には5年債入札が予定されている。表面利率は0.1%に据え置かれる見通し。発行予定額は前回債と同額の2兆5000億円程度となる。

  経済指標では、15日に昨年10-12月期のGDP(国内総生産、速報値)が発表される。ブルームバーグが集計した事前予想の中央値は実質で前期比年率0.8%減とマイナス成長になる見込み。7-9月期は1.0%増だった。

  アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長は、10-12月期のGDP統計について、「昨年12月までの数字で過去の物。年初からの荒れたマーケットの景気への影響などが注目されているので、債券相場の材料にはなりにくいだろう」と話した。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物3月物=150円80銭-152円30銭
新発10年物国債利回り=0.00%~0.10%
  「10年債は短期筋やインデックスの買いで行き過ぎた反動が出た。流動性が低下する中でボラティリティが高まるのは仕方ない。今週は20年債や5年債の入札もあり、相場の上値は重そう。ただ、日銀の大規模な買い入れ継続や3月の国債大量償還を考えると、このまま金利が上がって行くということでもない。アベノミクスは金融政策に頼りすぎている面があり限界が来ている。すぐには追加緩和ないとみた方が良いのではないか」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物3月物=150円50銭-152円00銭
新発10年物国債利回り=0.00%~0.15%
  「当局の政策対応が意識され、弱い展開か。リスクオフモードがどうなるか次第とみている。日銀がマイナス金利政策拡大ではなく、為替介入や株買い入れに向かうと売られやすくなる。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁発言も重要。20年債、5年債入札は、市場が崩れると低調になるリスクがある。特にマイナス利回りとなっている5年債入札は、マイナス金利政策の拡大期待が剥落すれば、結果が悪くなる可能性がある」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物3月物=151円00銭-152円00銭
10年物国債利回り=0.00%~0.10%
  「年初から大荒れの株式市場について、当局が何らかの政策対応するという姿勢を見せることが重要になる。ただ、為替が絡んでくると、この問題は日本だけでなく、米国や中国などの中央銀行を含めた政策協調がないと市場の沈静化は難しい。春節明けの中国の資本規制などが焦点か。国内では日銀が臨時会合を開いて何らかの対応を検討するような動きが出るかどうか。ただ、需要不足に対し、過度に金融政策に頼ることはすでに限界に来ているのも事実だ」

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