国内自動車メーカー、増益傾向は燃料切れも-円安相場が反転

国内の自動車メーカーは4年にわたる円安進行を受けて増益を続けてきたが、ここに来て増益傾向は燃料切れの状況になりつつある。

  トヨタ自動車など国内自動車メーカー7社の来期(2017年3月期)の純利益は合計約4兆5500億円とアナリストが見込まれている(ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均)。今期予想の平均に比べて5.5%増だが、この5年間で最も低い伸びになっている。

  問題は、この見通しがまだ楽観的過ぎることだ。為替相場の方向性に変化が出てきたことは、日産自動車ホンダマツダの昨年10-12月の営業利益にマイナス要因となったほか、トヨタでは為替変動がプラス要因として小幅にとどまった。

  為替市場では2月に入って急速に円が買われており、11日には対ドルで一時110円99銭と、日本銀行が追加緩和に踏み切った2014年10月末以来の水準まで円高が進行した。来期の自動車業績は減益になるかもしれないと、調査会社TIWや三菱UFJモルガン・スタンレー証券はみている。

  現状の為替水準なら日本の自動車メーカーは成長目標を達成できないだろうと、三菱UFJモルガン・スタンレーのシニアアナリスト、杉本浩一氏は電話取材に話した。次期の減益の程度は為替の水準次第で、会社によっても違うが、減益率は1桁にとどまらず、10%以上になるところもあるだろうとコメントした。

  安倍晋三首相が日銀の黒田東彦総裁とともに進める経済政策では、金融緩和を受けた円安が大黒柱を担ってきた。政府・日銀は輸出企業の利益を押し上げて、賃上げや設備投資の拡大などを通じた経済の好循環を狙い、物価上昇につなげようとしてきた。

  日銀はさらに1月にマイナス金利政策を導入する一段の金融緩和に踏み切ったはずだったが、現時点では円高進行、株価下落を招く状況となっており、政府・日銀が描いてきたシナリオに狂いが出てきている。

  円高進行が日本の輸出競争力にブレーキをかけ、海外事業からの収益を目減りさせる懸念が強まり、今年の春闘で賃上げ交渉の雲行きが怪しくなっている。主要な自動車メーカーの労働組合は17日に会社側へ要求を提出する。今年のベースアップ(ベ ア)要求は前年に比べて低い水準になっている。

  為替の追い風が向かい風に変わり、増益を期待するのは難しくなると、TIWの高田悟アナリストは電話取材に話した。どこまで円高になるか為替相場次第で、来期は全社が減益になる可能性もあると話した。

  日産、ホンダ、マツダの10-12月の営業利益段階で前年同期に比べ、為替変動が合計約619億円のマイナス要因となった。トヨタでは同50億円のプラス要因にとどまり、諸経費増などで営業減益となった。

  ホンダは10-12月業績で、純利益が大幅減となり、市場予想を下回った。今期の売上高予想は従来比で500億円の下方修正となった。決算資料によると、新興国通貨の最近の為替動向も響いている。

  三菱自動車も今期売上高予想を従来比で200億円引き下げたほか、スズキは純利益予想を同50億円減額した。三菱自は決算資料で、経済状況や市場動向を踏まえたとしている。スズキは決算資料で、来期の法人税率引き下げに よる繰延税金資産の取崩を反映して、従来予想から下方修正したという。

  これまで円安効果を受ける国内自動車メーカーをトヨタがけん引してきた。対ドルで1円の円安はトヨタにとって約400億円のプラスになると、高田氏は指摘した。

  現在は円高となる中、そのマイナス要因をトヨタがどのように補うのか。「現時点で北米や中国は順調だが、世界経済がけん引力をなくしている中で、力強い成長を期待できないだろう」と高田氏は話した。

原題:Toyota-Led Profit Gains at Risk as Carmakers Face Stronger Yen(抜粋)

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