政府:「適切に対応」と円高けん制、安倍・黒田会談で意見交換

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  • 市場の動向しっかり注視と黒田氏、マイナス金利の効果を首相に説明
  • 「荒い値動き」、月末の上海G20で「政策協調」検討へ-麻生氏

円の対ドル相場が11日の海外市場で一時110円台と約1年3カ月ぶりの高値水準を付けたことを受け、麻生太郎財務相や黒田東彦日本銀行総裁らから急激な円高をけん制する発言が相次いだ。黒田総裁は12日昼に官邸を訪れ安倍晋三首相と会談した後記者団に対し、為替を含めて市場の動きをしっかり注視していくと述べた。

  麻生財務相は12日午前の閣議後会見で、「引き続き為替市場の動向を緊張感を持って注視していくと同時に、必要に応じて適切に対応していく」と発言したが、為替介入の可能性については「コメントしない」として踏み込んだ発言を避けた。東京外為市場で1ドル=112円台に戻していた円相場は、財務相の慎重な発言に一瞬111円台に振れる場面もあった。

  財務相は、主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で合意されているように「急激な相場の変動は望ましくない」と述べ、「最近の為替市場でかなり荒い値動きが見られる」と指摘。今月26、27両日に上海で開催されるG20で足元の金融市場の沈静化に向けた「政策協調」について検討を進める考えを明らかにした。

  菅義偉官房長官も午前の閣議後会見で、財務相と同趣旨の発言を繰り返した。菅氏は、株式や債券も含めた不安定な市場動向について「日本経済の足腰はしっかりしている。市場心理は悲観的過ぎる感がある」とした上で、「市場の動きに右往左往することなく、国際社会と連携しながら内外の情勢を注視する」と語った。

やや行き過ぎと黒田総裁

  
  黒田総裁は同日午前の衆院財務金融委員会で、為替相場は経済実体反映して安定推移するのが望ましいと述べた上で、最近の市場動向は経済実態からみるとやや行き過ぎとの見解を示した。また、市場の過度なリスク回避はマイナス金利の影響とは考えていないと述べた。今後の金融政策に関しては、2%物価目標の実現のため、必要になれば何でもやるとあらためて述べた。

  黒田総裁はこの後、官邸で安倍首相と約1時間にわたって会談。終了後記者団に対し、会合は定期的な意見交換の一環と述べた上で、1月29日の金融政策決定会合で導入を決めたマイナス金利政策の考え方や効果を説明した、と語った。官邸では、財務省の浅川雅嗣財務官と世耕弘成官房副長官も別に会談し、最近の金融市場の背景について話し合った。浅川氏が記者団に語った。

  11日の海外市場では欧州株の急落を背景に一時110円99銭と、日本銀行が追加緩和に踏み切った2014年10月末以来の水準となるまで円高が進行。その後、一時113円台まで円が急落するなど値動きの激しい展開となった。12日午後の東京市場では112円台半ばで推移している。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは電話取材で、11日のように投機的な動きでドル・円が急落する局面もあるため、当局の口先介入のトーンは少しずつ強くなってきているとしながらも、米国との協調関係やイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長がドル高に懸念を示す中、為替介入はハードルが高いとの見解を示した。

(官邸での安倍首相と黒田総裁の会談などを第1、6段落に追加します.)
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