家計にもマイナス金利の風、住宅ローンの借り換えを後押し

  • 不動産需要の喚起に業界期待、来年4月に控える消費再増税
  • 新築マンションはすでに価格上昇、ブームには疑問の声も

日本経済は日本銀行によるマイナス金利導入という未踏の領域に突入した。金融市場は乱高下を繰り返しているが、住宅ローンの利用者には追い風だ。借り換えや住宅の新規購入を検討している人たちが動き始めた。

  「日銀のマイナス金利導入が発表され、一瞬で買い時だと思った」。会社員の徳生武司さん(29)は中古マンションを購入しようと決め、東京都中央区にある新生銀行の住宅ローンセンターを訪れた。狙っているのは、2020年の東京五輪関連施設が集中する湾岸エリアの高層タワーマンション。建材費や人件費の高騰で新築の価格が上昇する中、中古なら割安で流動性のある物件が探せると期待する。 

  会社員、大友祐一郎さん(42)は同センターで3年前に購入した戸建ての住宅ローン借り換えを相談した。マイナス金利のニュースを聞き、「これまで踏ん切りがつかなかったが、背中を押されるきっかけになった」と話す。

  日銀が1月29日に決定したマイナス金利導入を受け、新生銀行は3日、住宅ローン金利の10年固定型を年1.25%から1.15%に、変動型(半年)を年0.68%から0.63%とした。1カ月ごとに設定する金利を月の途中で変更するのは初めて。4日には通常の4倍近くの問い合わせが殺到した。その大半が借り換えの相談だ。

   種子島一美・住宅ローン部長は、従来、借り換えは「金利に敏感な」利用者が中心だったが、今回は「これまであまり考えていなかった層も、マイナス金利による金利低下に目が行っている」と言い、一定程度増えるとみている。

  不動産業界からも期待の声がある。三菱地所の山岸正紀広報部長は「金利はすでに十分低い水準だったが、マンション需要が上がる」と、さらなるローン金利低下にプラス効果はあるとみる。金融機関が住宅ローン金利を見直すのは原則月1回。メガ3行が日銀のマイナス金利導入後の利率を発表するのはのはこれからだ。

  政府は来年4月に消費税の税率を10%に引き上げる予定だが、2014年4月に税率を8%に引き上げる前には、住宅にも駆け込み需要が発生した。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、住宅ローン金利引き下げによる需要喚起について、金利水準はすでに下限近いため下げ幅は小さく新築マンションの価格も上がっていることから、「皆が不動産に行くことはない」と効果は限られるとの見方を示した。

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