ドル・円は一時111円台、米利上げ見通し後退やリスク回避で-介入警戒

更新日時
  • 麻生太郎財務相、急激な円高をけん制
  • 市場関係者からは「実弾介入にはハードルが高い」との声

12日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が一時1ドル=112円台を割り込むなど上値の重い展開。米利上げ見通しの後退やリスク回避ムードの高まりを背景に、ドル安・円高圧力が根強く残っている。

  午後4時10分現在のドル・円相場は112円03銭前後。日本株の大幅続落を背景に午前9時すぎには一時111円91銭まで円高が進んだ。一方、介入警戒感が強まる中、午後には日本銀行の黒田東彦総裁らと安倍晋三首相が意見交換したとの報道などを受け、113円02銭まで円安に振れる場面が見られたが、滞空時間は短かった。

  11日の海外市場では欧州株の急落を背景に一時110円99銭と、日本銀行が追加緩和に踏み切った2014年10月末以来の水準となるまで円高が進行。その後、一時113円台まで円が急落するなど値動きの激しい展開となった。

  FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、「ドル・円がここまで急激に下がってしまったので、本当に売らなければならない人の方が増えてしまったのは確かだ」と言い、「政府・日銀が口先介入や何なりをするとして、もう一段跳ねたらそこは売ってやろうと待ち構えている向きはいる」と指摘。「そう考えるとどうしても戻りは限定的で、リスクはまだ下向き」と語った。
 
  麻生太郎財務相は12日午前の閣議後会見で、「急激な相場の変動は望ましくない。必要に応じて適切に対応していく」と急激な円高をけん制した。為替介入の可能性については「コメントしない」と明言を避けた。菅義偉官房長官は為替相場の動向について、必要に応じて適切に対応すると述べた。

  日銀の黒田総裁は同日午前の衆院財務金融委員会で、為替相場は経済実体反映して安定推移するのが望ましいと述べた上で、最近の市場動向は経済実態からみるとやや行き過ぎとの見解を示した。その後の官邸での安倍首相と会談については記者団に対し、定期的な意見交換の一環と述べた上で、マイナス金利政策の考え方や効果を説明したと語った。

  官邸では、財務省の浅川雅嗣財務官と世耕弘成官房副長官も別に会談し、最近の金融市場の背景について話し合った。浅川氏が記者団に語った。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「昨日のように実需がなく投機的な動きもあるため、当局の口先介入のトーンは少しずつ上がっている」と指摘。ただ、ドル高を懸念している米国との調整も必要で、「実弾介入にはハードルが高い」と語った。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、11日の米上院銀行委員会での質疑応答で、ドルの強さは金融政策の設定で「考慮する要素の一つであるのは確かだ」と述べた。同議長は10日の下院金融委員会での証言で、最近の金融市場の混乱を受けて、米金融当局が従来想定していた追加利上げの時期を先送りする可能性を示唆した。

  12日の東京株式相場は大幅続落。日経平均株価は14年10月21日以来の1万5000円割れとなった。前日には欧州株式相場が下落し、指標のストックス欧州600指数は13年9月以来の安値に沈んだ。中央銀行が世界的な景気減速を食い止める力を失っているとの懸念から米株式相場も下落。米10年債利回りは一時3年半ぶりの水準に低下した。

  上田ハーローマーケット企画部の山室宏之氏は、この日は米国で小売売上高などの発表があるが、足元では経済指標の強弱よりもリスクオフの動きに敏感な状況が続いていると説明。「週明けには春節明けの中国株式市場が再開されることから、本格的なリスクマインドの改善への道は遠く、必然的に戻りは限定的なものとなりそう」と指摘した。

  ユーロ・円相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=125円78銭と13年6月以来の水準まで円高が進行。この日の東京市場では127円台後半まで円安に振れる場面も見られたが、その後126円台後半まで値を戻している。ユーロ・ドル相場は前日の海外時間に昨年10月21日以来の水準となる1ユーロ=1.1376ドルまでユーロ高・ドル安が進んだが、この日の東京市場では1.3000ドル付近まで弱含みとなった。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE