債券は大幅安、政策対応観測や流動性供給結果で-長期金利0.08%に

更新日時
  • 先物は78銭安の151円11銭で終了、一時151円06銭まで下落
  • 黒田日銀総裁と安倍首相が会談、流動性供給入札で応札倍率低下

債券相場は大幅安となり、長期金利は約1週間ぶり水準まで上昇した。日銀の黒田東彦総裁らと安倍晋三首相の会談で、円高・株安などへの政策対応が図られるとの観測が強まったほか、今日実施の流動性供給入札の結果を受けて、売りが優勢となった。

  12日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前営業日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.00%で開始。徐々に水準を切り上げ、午後に入ると一時0.08%と4日以来の高水準を付けた。

  新発20年物の155回債利回りは1bp高い0.74%で開始し、午後には0.80%と2日以来の高水準まで達した。新発30年物の49回債利回りは7.5bp高い1.145%と、1月29日以来の水準まで上昇した。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「10年債は安全資産需要や追加緩和期待で買われ過ぎていた感じがある。日銀の大規模な買い入れや3月の大量償還も控えており、これで金利が上昇していくということではないが、若干の調整が入ってもおかしくない。世界経済の減速懸念が中国から始まり、足元では欧州の金融不安も出てきているが、金融緩和の効力はなくなってきている」と指摘。「流動性が低下する中で何かあるとボラティリティが高まりやすい」と述べた。  

  長期国債先物市場で中心限月3月物は、前営業日終値比16銭高の152円05銭で始まり、いったん152円10銭まで上昇した。その後は下げに転じ、午後に入ると一段と水準を切り下げ、151円06銭と5日以来の安値を付け、結局は78銭安の151円11銭で引けた。

  BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、債券相場の下落について、「流動性供給入札が弱かったことや、政策をめぐり当局の動きに対する不透明感が影響している」と説明。「マイナス金利が適応される16日決済のGCレポレートが思ったよりも下がらず、意外と金利が下がらない可能性を意識したもよう。16日からのマイナス金利導入を先回りして、買いが膨らんでいたため、その巻き戻しも出ているもよう」と話した。

  黒田総裁は、この日昼に官邸を訪れ安倍首相と会談した後、記者団に対し、為替を含めて市場の動きをしっかり注視していくと述べた。官邸では財務省の浅川雅嗣財務官と世耕弘成官房副長官も別に会談し、最近の金融市場の背景について話し合った。市場参加者からは、為替介入や日銀の緊急金融政策決定会合の開催に対する観測が出ている。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「債券が売られたのは、黒田総裁と安倍首相が会談との報道を受けて、為替介入が入って株価が反転する可能性が出て、マイナス金利強化の可能性が低下するという見方があると思う。これまで日銀がマイナス金利政策の幅を拡大していくとの見方から債券は買われていたが、銀行株が下落して、市場ではマイナス金利政策が有効なのかと疑念が出てきた。日銀の緊急会合開催は、あり得ると思う」と話した。

流動性供給入札

  財務省が午後発表した流動性供給入札(発行額5000億円)の結果によると、募入最大利回り較差が0.015%、募入平均利回り較差は0.007%となった。今回の対象銘柄は残存期間5年超から15.5年以下の国債。投資家需要の強弱を示す応札倍率は2.87倍と、前回同年限の3.12倍から低下した。

  この日の東京株式相場は大幅続落。日経平均株価は前営業日比760円78銭安の1万4952円61銭と、1万5000円を割り込んで終えた。前日の海外市場でドル・円相場は一時110円99銭まで円高・ドル安が進んだ。11日の米国債相場は小幅続伸。米10年債利回りは1bp低下の1.66%程度で引けた。同日の欧州債市場ではドイツ国債が上昇。利回りは8年物までマイナスとなり、過去最低を更新した。

  三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、「欧州の金融株が売られて、ドイツ国債・英国債の金利が低下している。マイナス金利を先んじて導入していた欧州国債でプラス圏に金利が残っているので、利回り曲線をつぶす余地がある」と分析した。

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