円全面高、世界景気懸念で対ドル114円台-イエレン議長の証言見極め

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  • 前日の取引で一時114円21銭、2014年11月以来のドル安・円高水準
  • 株安と円高が負のスパイラル、112~113円までの円上昇も-RBS

10日の東京外国為替市場では円が全面高の展開となり、対ドルでは再び1ドル=114円台に水準を切り上げて推移した。世界経済の悪化懸念を背景に、リスク回避に伴う円買い圧力が強まった。

  午後3時47分現在のドル・円相場は114円71銭付近。円は南アフリカランドを除く主要通貨に対して前日の終値から上昇しており、対ドルでは朝方に付けた115円26銭から一時114円26銭まで水準を切り上げた後、115円台に戻す場面も見られたが、円の下値は限定的だった。前日の取引では一時114円21銭と、2014年11月以来の水準までドル安・円高が進んだ。円は対ユーロでも買われ、前日に一時1ユーロ=128円28銭と1月27日以来の高値を付けた。同時刻現在は129円55銭付近で取引されている。

  ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の平野淳外国為替営業部長は、「マイナス金利も銀行セクターへの負の影響がクローズアップされ、株や債券、為替とクロスマーケットでボラティリティが上がってしまって、落ち着きどころが見えない状況になっている」と指摘。「 株安と円高が負のスパイラルに入り、ドル・円はテクニカル面からも下値リスクが高まっている」とし、「ひとまずは112から113円までの下落リスクを意識しておきたい」と言う。

  午前の取引でドル・円相場が114円台前半から115円台まで値を戻した局面では、日本銀行が民間銀行に為替水準を聞き取りするレートチェックが入ったとの観測も出たが、市場では否定的な見方が優勢だった。SMBC信託銀行金融商品開発部のシニアマネジャー、シモン・ピアンフェティ氏は、「聞いた限りでは、レートチェックはなかったようだ」とし、「中国の春節休暇中で、市場はかなり薄い」と話す。

  また、クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、「ウェブサイトにレートチェックに関する記事が出たもようで、アルゴリズム取引がそれに反応した可能性はある」と分析。「ちょうどドル・円が上がり始めた時だったこともあり、市場は非常に神経質になっている」と言う。

  9日の米国株式相場は、主要3株価指数がそろって下落。米国債相場は上昇し、10年債利回りは一時1.68%と、15年2月以来の低水準を付けた。この日の東京株式相場は日経平均株価が反発して取引を開始したものの、下げに転じ、午後の取引で前日終値からの下げ幅が一時600円を超えた。結局、372円05銭安の1万5713円39銭と終値としては14年10月30日以来の安値で引けた。

  大和証券投資戦略部の今泉光雄チーフ為替ストラテジストは、「世界的な景気悪化懸念オペレーション」になっていると指摘。「リスクオフに伴う円高を期待した投機的な円買いの動きに傾いている」と話す。

FRB議長証言を見極め

  この日の米国時間には、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が下院金融サービス委員会で証言する。

  みずほ証券の金岡直一FXストラテジストは、外部環境のリスク要因はこれまで中国経済と原油相場だったが、足元では欧米の信用不安が不確実要素として増えてしまっていると説明。イエレン議長が新たなリスクを加味した発言をした場合は、「3月利上げのハードルが上がる」とし、市場に対してハト派的なメッセージとなって、ボラティリティの沈静化につながる可能性もあるとみる。

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