債券は下落。先物は152円台を割り込み、長期金利はプラス圏に上昇した。連日のように続いた高値更新で警戒感が出たほか、日本銀行による長期国債買い入れオペ結果などを受けて、午後に入って売りが優勢となった。午前の取引では、長期金利が前日に記録した過去最低に並び、新発20年債利回りと新発5年債利回りが過去最低を更新する場面もあった。

  10日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比4銭安の152円21銭で始まった後、一時14銭高の152円39銭まで上昇し、日中取引ベースで前日に付けた過去最高(152円25銭)を更新した。午後に入って、売りが優勢となり、一時62銭安の151円63銭まで下落。結局は、36銭安の151円89銭で引けた。前日の夜間取引では一時152円48銭まで上昇し、過去最高値を更新していた。

先物中心限月の推移
先物中心限月の推移

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値を1.5ベーシスポイント(bp)上回るマイナス0.015%で取引を開始。その後は、水準を切り下げ、前日に記録した過去最低のマイナス0.035%に並ぶ場面があった。午後に入ってからは水準を切り上げ、一時プラス0.03%まで上昇した。

  新発5年物126回債利回りは、1bp低いマイナス0.265%と過去最低を更新して始まった後、徐々に水準を切り上げ、一時マイナス0.215%まで上昇した。

  SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「日銀オペの前に前場で買われ、結果を確認して、後場で売りが出るパターンではないか」と説明した。また「日銀オペでの札割れは、今のところは恐らくないだろう。市場参加者はかなり低い金利で買っている分もあるので、オペで売る需要はあるからだ」とも語った。

  日銀が今日実施した今月4回目となる長期国債買い入れオペ(総額8900億円程度)の結果によると、残存期間5年超10年以下、10年超25年以下、25年超の全てで応札倍率が前回から低下した。残存期間5年超10年以下の按分利回り格差と平均落札利回格差との差は0.003%だった。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「流動性が低く、ボラティリティ(変動率)が高い市場環境下で、金利低下が速かったことに対する警戒感はそれなりにあると思う。こうした中でフローが出ると一方向に振れやすくなっている面はある」と指摘。「国債買い入れオペでは5年超10年以下で入札結果が思ったほど流れなかったことから、売却ニーズがそれなりにあったことが後場の売り材料となった可能性もあるだろう」とも述べた。

  新発20年物155回債利回りは、1.5bp高い0.73%で始まった後、徐々に水準を切り下げ、一時0.705%まで低下し、過去最低を更新した。午後に入ってからは水準を切り上げ、一時0.75%まで上昇した。新発30年物49回債利回りは2bp高い1.07%で始まり、一時1.04%まで低下した。午後は一時1.075%まで水準を切り上げた。

  SMBC日興証の竹山氏は、午前に買いが入ったことについて、「市場が注目していた昨日の30年債入札結果は流れたが想定内に収まったので、安心感が広がったのが影響している」と指摘。「株安・円高は債券相場に直接影響するというより、日銀の追加緩和観測を高めて間接的に買い材料になる」と述べた。

  この日の東京株式相場は続落。日経平均株価は一時600円超の下落となり、前日比372円05銭安の1万5713円39銭と1万6000円割れで取引を終えた。

  9日の米国債市場で10年債利回りは前日比2bp低下の1.73%程度で引けた。米国株は下落し、S&P500種株価指数は2014年4月以来の低水準付近で推移した。ニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が大幅続落した。

  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日に米下院金融サービス委員会で、11日に上院銀行委員会で証言を行う予定。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、イエレン議長の議会証言について、「このリスクオフ局面をどう考えているか発言が注目される。年内の米利上げ織り込みがはく落する中、ニュートラル(中立的)な姿勢を示しただけでタカ派的に受け止められるリスクはあるので注意が必要。3月米連邦公開市場委員会(FOMC)まで時間があるので断定的な発言はないだろう」と述べた。

  一方、JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは、「必ずしも最近の金融市場の動きを反映したものではないにしても、ハト派のメッセージとなることはほぼ間違いない。前回1月27 日のFOMC声明文はリスク評価ができないほど先行きの不透明さを意識させるものであったほか、インフレが目標に近づいたとの指摘がなかったことからみて、かなりハト派的。議会証言はこのFOMCの雰囲気を示すものと考えられる」と見込んでいる。

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