円全面高、対ドルで1年3カ月ぶり114円台-世界株安受けリスク回避

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  • 一時114円21銭、2014年11月10日以来の水準までドル安・円高が進行
  • 115円を割れたのはかなり心理的にも大きい-しんきんAM・加藤氏

9日の東京外国為替市場では円が全面高。世界的な株安を背景にリスク回避に伴う円買いが強まり、対ドルでは1年3カ月ぶりの1ドル=114円台まで円高が進んだ。

  午後3時40分現在のドル・円相場は114円80銭前後。115円台前半まで円高が進んだ前日の海外市場の動きを受け、朝方には麻生太郎財務相が「荒い動きが見られている」と発言。「引き続き為替市場の動きをよく注視していきたい」と述べたが、目立った反応は見られず、ドル・円は午前10時ごろに115円ちょうどを突破。日本株が下げ幅を拡大する中、正午すぎには一時114円21銭と2014年11月10日以来の円高値を付けた。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純ポートフォリオマネージャーは、ドル・円はもう少し調整してから割れると思っていたが、「あっという間だった」と指摘。「世界的なリスクオフの流れがわっと押し寄せてきている」とし、「115円を割れたのはかなり心理的にも大きい」と語った。

  ブルームバーグのデータによると、円は前日に続き、主要31通貨全てに対して前日終値比で上昇。ドル・円は前日終値(115円85銭)から1円以上円高が進み、ユーロ・円相場は1ユーロ=129円台後半から一時128円28銭と先月27日以来の水準まで円高に振れた。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、市場は「明らかにやり過ぎ」だが、ドル・円には「まだ下値余地がある」とし、目先は14年2月のドル安値から昨年のドル高値の半値戻しにあたる113円30銭程度をめどに、「下値をトライする動きが続く」と予想。「日銀が動くとの期待が一つのサポート材料にはなるが、マイナス金利も当座預金を三層構造にするという枠組みを変えないと、インパクトは限られる」と語った。
 

  9日の東京株式相場は大幅反落し、日経平均株価は900円を超える下げとなった。一方、債券相場は急伸。長期金利は午後に入り史上初のマイナス圏に突入し、一時はマイナス0.035%まで低下した。

  前日には欧州株式相場が約1年ぶりの安値へ下落。景気回復の力強さをめぐる懸念から売りが膨らみ、ギリシャ株は1990年以来の安値に沈んだ。また、欧州債券市場では高債務国の国債利回りが上昇した一方、独10年債利回りが昨年4月以来の水準に低下。欧州の銀行や保険会社の優先債の保証コストは13年3月以来の水準まで上昇した。米株式相場も下落し、安全資産への逃避から米10年債利回りは1年ぶり低水準に低下。原油先物相場は3営業日続落となり、1バレル=30ドルを割り込んだ。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部・為替市場グループの市河伸夫グループマネージャーは、「欧州の銀行セクターに対する警戒もあり、ドル・円のフォワードポイントが下落したほか、フェデラルファンド(FF)レートが上昇するなど、短期市場にストレスがかかっている状況」と説明。「リスクを落としてキャッシュ化する動きが進んでいる可能性がある」と語った。

  一方、ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.1238ドルまでユーロ買い・ドル売りが進行。バークレイズ銀行の門田真一郎為替ストラテジストは、「世界的なリスクセンチメントに影響され、ユーロもリスクオフで買われている」とし、米国の利上げ観測が後退していることもユーロを買われやすくしていると説明した。

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