シャープ財務支援効果は1兆円以上、鴻海案上回る-機構が主張

更新日時
  • 産業革新機構による救済案の詳細判明
  • 3000億円出資のほか、銀行支援、堺工場売却など盛り込む

経営再建中のシャープの支援をめぐり、政府系ファンド産業革新機構は機構案の財務支援効果が1兆円を超え、台湾の鴻海精密工業の案よりも優れているとシャープに対して主張している。ブルームバーグが入手した文書で分かった。

  文書によると、機構案は成長投資に使う3000億円の出資に加え、液晶投資の追加資金として2000億円の融資枠を設定。またテレビ用液晶を生産する堺ディスプレイプロダクト(大阪府堺市)の株式売却で1500億円を上げる。このほか主要取引行による優先株2250億円分の消却や1100億円の債務の株式化、優先株配当減750億円を加えると1兆600億円となり、鴻海案より「革新機構提案の方が優れている」としている。

  機構はシャープの再建をめぐり鴻海と競っている。関係者によると、鴻海が示している買収による支援総額は約6600億円。鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は5日、大阪のシャープ本社で高橋興三社長らとの協議後、同社再建策をめぐり優先交渉権を得たと語ったが、シャープは同日夕、否定した。

  SBIアセットマネジメントの運用本部長、木暮康明氏は支援額だけではなく「再生する確度が重要」だと指摘した。支援を受けたとしても「付加価値を生まない解体で終わってしまえば意味がない」という。

新経営陣

  機構は文書で、将来的にシャープが日本を代表するインターネット・オブ・シングス(IoT)メーカーを目指す考えを説明した。液晶事業については機構傘下の同業、ジャパンディスプレイと統合する方針。また家電事業、液晶事業の経験のある経営者を招へいする。

  機構の広報担当者は8日、取材に「引き続きシャープとの交渉を続けていく」と話した。シャープと鴻海のコメントは得られていない。

  機構の志賀俊之会長(日産自動車副会長)は9日付の日本経済新聞朝刊で、支援額の上積みは「検討しない」と述べた。また「あきらめているわけではない。鴻海との交渉期限である2月末を注視している」と語った。

  シャープの経営危機はテレビ不振などで2012年3月期に巨額赤字を計上したことで表面化し、前期(15年3月期)も2223億円の純損失を計上した。シャープは資産売却や人員削減によって立て直しを図ってきたが、液晶事業の悪化により外部支援が不可避の状況となっている。

  9日のシャープ株価は一時、前日比4%安の170円まで下落した。午前10時9分現在は同2.8%安の172円。

(7段落に機構の志賀会長の発言を追加しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE